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今年7月のパラクライミング世界選手権で視覚障害男子B1の部で4連覇した東京都在住の小林幸一郎さんと、下肢切断男子AL-1の部で銀メダルを獲得した伊丹市在住の大内秀之さん=大阪市中央区
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今年7月のパラクライミング世界選手権で視覚障害男子B1の部で4連覇した東京都在住の小林幸一郎さんと、下肢切断男子AL-1の部で銀メダルを獲得した伊丹市在住の大内秀之さん=大阪市中央区
パラクライミング世界選手権で銀メダルを獲得した大内秀之さん=フランス・ブリアンソン(大内さん提供)
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パラクライミング世界選手権で銀メダルを獲得した大内秀之さん=フランス・ブリアンソン(大内さん提供)

 来年夏の東京五輪で、日本のメダル獲得が有力視されるスポーツクライミング。実は、パラ種目でも日本人が活躍している。今年の世界選手権(7月16、17日、仏ブリアンソン)は日本人選手16人が出場し、メダル7個を獲得した。「いつかパラリンピックの種目に」-。友人同士という大会4連覇中の小林幸一郎さん(51)=東京都=と、兵庫県伊丹市在住の銀メダリスト大内秀之さん(39)にパラクライミングの魅力を聞いた。(小谷千穂)

 「最初あかんかったコース、かなり上まで行きましたよ!」。8月下旬、大阪市中央区のクライミング施設で大内さんの声が弾む。生まれつき下半身が不自由な大内さんは、腕の力だけで壁を登る。

 「うそ、行ったの!」と大内さんに応じたのは、28歳で目の病気になり、全盲となった小林さん。拳をぶつけながら大内さんが「コバさんにいいとこを見せなと思って」と言うと、小林さんが「見えねえんだわ」と即座に突っ込む。「これ、お決まりのやつなんですよ」と2人は無邪気に笑う。

     ◇     

 パラクライミングは、決められたコースを登った高さで競う。2年に1度の世界選手権では、大内さんは下肢切断で最も重度の「AL-1」の部に、小林さんは視覚障害で最も重度の「B1」の部に出場した。2度目の挑戦だった大内さんは8人中2位で銀メダル、小林さんは9人中1位で大会4連覇を成し遂げた。

 選手それぞれ身体の長所短所が異なるように、登る工夫もそれぞれ違う。手だけで登り切る大内さんは、できるだけ腕の力を使わないように、小指と薬指をホールド(壁の突起)に引っかけて序盤に素早く登る。小林さんは、地上にいるナビゲーター役の指示を聞きながら、ホールドの位置を手探りで確認しながらじっくり進む。

 50歳を超えて第一線を走る小林さんは、クライミングを「勝った負けたじゃない」と言い切る。「人生と同じ。失敗したってやり方を変えて、一つ上のホールドに向かって努力するだけ」と話し、「楽しいから続けている」を目を細める。

 一方、車いすバスケットボールの選手でもある大内さんは「自分が一手先に手を伸ばす姿で、応援してくれている人に元気と希望を届けたい」と満面の笑み。目標は「2028年ロサンゼルスでパラリンピック種目として登録され、金メダルを取ること」を掲げる。

     ◇     

 2人はクライミングの魅力を大会だけでなく、「多様性が理解できる」と口をそろえる。誰かが登っている間は、他の人は皆が声を出して応援する。大内さんが熱を込めて言う。「目が見えないとか足が動かないとか関係なくて、ホールド一つ上に行っただけでみんなハッピーなんですよ」

 小林さんは、パラクライミングの普及活動をするNPO法人「モンキーマジック」の代表も務め、障害の有無にかかわらず人々が交流するイベントを全国で開いている。問い合わせは、モンキーマジックのメール(info@monkeymagic.or.jp)まで。

【パラクライミング】障害のある人が挑戦するクライミング競技。視覚障害、切断、神経障害の3カテゴリーがあり、その中で障害の程度に応じたクラス分けがある。日本パラクライミング協会によると、2011年の世界選手権はエントリーが約50人だったが、18年は200人超に増えた。今年の日本選手権も過去最高の35人が出場している。

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