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母を自宅で介護し、看とった実積真由美さん=神戸市北区
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母を自宅で介護し、看とった実積真由美さん=神戸市北区
働きながら認知症の母を在宅介護する岡崎真理子さん
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働きながら認知症の母を在宅介護する岡崎真理子さん

 介護や医療に携わる人たちが課題や現状について語り合う催し「かいご楽快」が3月7日午前10時~午後4時半、阪神西宮駅近くのアミティホール(兵庫県西宮市六湛寺町)で開かれる。専門家に加え、自宅で母をみとった実積真由美さん(62)=神戸市北区=と、現在働きながら認知症の母を在宅介護する岡崎真理子さん(55)=西宮市=の2人も自身の経験を語る。(斉藤絵美)

■自宅で母みとった実積さん「私もそうやって死にたい」

 母の加藤さよ子さん(享年86歳)を自宅で2年2カ月間介護し、2017年1月にみとった。

 さよ子さんは02年にくも膜下出血で倒れ、脳腫瘍や脳出血も患い、左半身にまひが残った。次第に認知症状が出始め、気に入らないことがあると大声を出し、人が変わったように暴れた。「なんで早く死んでくれへんの」と何度も思った。

 介護施設にも入ったが、頻繁に家へ帰りたがった。自宅で家族をみとった女性に相談すると、「認知症の人は訳が分からないんじゃなくて、どうしたらいいか分からないだけ。うれしい、悲しいという気持ちはある」と言われた。「本人をないがしろにした介護はだめだ」。14年秋にさよ子さんを自宅に連れて帰った。

 4年ぶりに自宅に戻ったさよ子さんは便通が良くなり、食欲も旺盛になった。介護中に腕や髪の毛を引っ張られ、つらいこともあったが、食後には「おいしかった」と言ってくれ、コーヒーを出せば自分でコップを持って飲む。「できないことよりできることを見つけられたら快感になった。施設に預けていたら経験できなかった」と話す。

 さよ子さんの最期は、声を上げることなく呼吸がすっと止まった。「私もそうやって死にたい。そういう死に方もある、介護はやりがいもある、と多くの人に伝えたい」

■「いとおしい」気持ち分かるように 認知症の母を在宅介護する岡崎さん

 毎朝4時半に起きる。母の規子さん(89)の着替えや食事を済ませ、デイサービス事業所に届け、職場へ向かう。午後7時半に迎えに行き、自宅に戻って食事や入浴を共にする。就寝はいつも午前0時を回る。

 規子さんに認知症状が出始めたのは2007年ごろ。ボランティア団体で会計を担当していて、「計算が合わない」と真理子さんに泣きついてきた。ノートを見ると、単純な足し算を何度もやり直した跡があった。09年に軽い脳梗塞で2週間入院し、症状は進んだ。

 退院後、在宅介護が始まった。仕事で出張があればショートステイに預けた。5年前からは、出張や残業が少ない部署に異動した。

 2年前、1冊のノートを見つけた。ミミズがはったような字で、親族の連絡先や自宅の住所などが何度も書かれていた。「忘れていく自分を必死につなぎ止めようとしていたのか。家族なのに、気付いてやれていなかった」。胸が締め付けられる思いがした。

 規子さんは現在「要介護4」。できないことが増えてきたが、風呂で背中を流すと振り向いて「ニー」と笑い、デイサービスの帰りに「いつも一緒にいてくれるんやんな」と甘えてくる。

 以前、母親をみとった女性から「いとおしいやろ?」と聞かれたことがある。ようやく、その気持ちが分かるようになってきた。

     ◇

 かいご楽快は、西宮市のNPO法人「つどい場さくらちゃん」などが主催し、今年で12回目。在宅医療に取り組む長尾クリニック(尼崎市)の長尾和宏院長や愛知県長久手市の吉田一平市長らも講演する。定員1300人。参加費3千円(当日4千円)。一部、有料の講演もある。つどい場さくらちゃんTEL0798・35・0251

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