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「いけす」の店内で(右から)橋本勝邦さん、翠さん夫婦。翠さんの双子の妹、國本葵さん。店は90年以上地域の人々に愛された=西宮市大畑町
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「いけす」の店内で(右から)橋本勝邦さん、翠さん夫婦。翠さんの双子の妹、國本葵さん。店は90年以上地域の人々に愛された=西宮市大畑町
住宅街にたたずむ「いけす」の店舗=西宮市大畑町
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住宅街にたたずむ「いけす」の店舗=西宮市大畑町

 1928(昭和3)年から営業を続けてきた兵庫県西宮市大畑町の和食料理店「いけす」が、3月末で約90年の歴史に幕を閉じる。だしの効いたうどんが住民に愛され、阪神・淡路大震災では激震に持ちこたえた店が地域の「目印」になった。切り盛りしてきた夫婦は「お客さんに恵まれ、家族仲良くやってこられた。こんなにありがたい人生はない」と感謝の思いを語る。(名倉あかり)

 大将の橋本勝邦さん(77)は熊本県天草市の出身。16歳の時、親戚に紹介され、いけすで働くことになった。「西宮ってどこだろうと慌てて地図を見た」と苦笑して振り返る。弟子入りした大将の娘、翠さんと出会い、8年後に結婚。夫婦で店を引き継ぎ、翠さんの双子の妹、國本葵さんも手伝ってきた。

 メニューのこだわりは「おなかいっぱいになってもらうこと」。お昼の定食は780円でエビやカツがのったうどんに白ご飯、漬物が付く。満足感から、常連客に好評だ。

 95(平成7)年に起きた阪神・淡路大震災で周辺は甚大な被害を受けた。数年前に鉄骨に建て替えていた店は食器が割れる程度の被害で済み、翠さんは「建物がなくなってしまったので目印になった。『いけすが開いてた』と店を見て泣く人もいた」と振り返る。

 「うどんを食べて温まってほしい」と地震から約2週間後にプロパンガスを使って営業を再開。店は復旧工事の作業員らでにぎわった。「相席を頼んだらみんな優しく受け入れてくれて。大変な時やったけど、思いやりがあった」

 閉店を決めたのは「元気なまま辞めて、第二の人生を楽しみたい」という前向きな理由から。店を畳んだ後は家族の時間を大切に過ごすつもりといい、橋本さん夫婦は「同じ場所で続けられたことを幸せに思う。まじめな夫と愛嬌のある妻でバランスが良かったのかな」と互いをたたえ、笑い合った。

 営業時間は午前10時半~午後3時、午後5~8時。水、木曜は定休。いけすTEL0798・67・2670

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