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親子3代で宮水保全のための調査などを続けてきた済川健さん(左から2人目)の家族=西宮市産所町
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親子3代で宮水保全のための調査などを続けてきた済川健さん(左から2人目)の家族=西宮市産所町

 19日に発表された日本遺産の認定。兵庫県の阪神間は伊丹市を代表自治体に、尼崎、西宮、芦屋の4市、それに神戸市を加えた5市で育む「日本酒」のストーリーが選ばれた。関係者からは、観光資源としての活用や地域の魅力再発見に向けた期待の声が上がり、江戸時代から続く先人たちの技術と情熱を受け継ぐ決意を新たにした。

 酒造りに適し「奇跡の水」とも評される「宮水」。兵庫県西宮市南部には酒造会社の井戸が何本も掘られている。この名水を1950年代から親子3代で守り続けてきた一家がいる。地下水を調査し、保全対策を提案するなど地道な努力を続ける一家も、日本遺産認定に喜びの声を上げた。

 江戸時代に発見された宮水は、同市の国道43号以南で地下2~5メートルから取水される。3種類の伏流水が混ざり合い、発酵に適したミネラル分が豊富。「天与の霊水」とも称される。

 この名水を開発工事による悪影響から守るため、酒造会社が合同で1954年に「宮水保存調査会」を発足させた。市立西宮高校の理科教師で地質と鉱物が専門だった済川(すみかわ)要さん(26~2015年)が長らく調査を担い、退職後の89年に地下水の調査会社スミカワ研究所(同市)を設立した。

 済川さんらは数百本の井戸の調査を続けた。地下水の通り道を確保するため、阪神高速道路の橋脚の間隔を広く取ることなどを提案。西宮市は18年から宮水保全条例で開発業者は対象区域内での工事について宮水保存調査会と事前協議することを義務付けている。

 父要さんから同調査会顧問を継いだ同研究所社長の済川健さん(65)は「宮水は自然が生んだ奇跡の水。さらに、人の情けで守り抜いてきたことが何よりの奇跡」。地下のデータを蓄積し、繊細な変化をつかみ、年間100件ほどの工事の相談に乗る。水の噴出などを防ぎ、開発業者側から感謝されることもしばしば。「環境と開発の両立を実践してきたのが『宮水』」

 調査には家族も加わる。妻智子さん(63)、長男晃さん(33)、次女綾さん(30)が研究員として奔走。「地下水は一度失われると、後戻りできない。努力を認めてもらえて励みになる」と家族一同、笑顔を見せた。(小林伸哉)

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