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高見忠男さん
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高見忠男さん

■オーナーシェフ・高見忠男さん(兵庫県尼崎市)

 農家を招いて店頭で朝市を開く。ケールにレタス、それに「ツタンカーメンエンドウ」。食べ慣れたものから聞いたこともない名前まで、新鮮な無農薬野菜が並ぶ。月に1度、客と農家が野菜の話で盛り上がる。「『食』が人と人とのつながりを生む」。信念を胸に、生産者と消費者をつなぐ。

 ホテルニューオータニやフランスの二つ星レストランで腕を磨き、尼崎市の産婦人科でのシェフを経て、2010年4月に独立。レストラン「エマーブル」(尼崎市南武庫之荘1)を開いた。出産前後の女性に料理を提供した経験から、栄養バランスに配慮したレシピを追求するうちに、無農薬野菜を栽培する高知県の農家に出会った。「体に優しい野菜を届けたい」。熱い思いに共感。「消費者に伝えたい」という一心で動いた。

 3年前からは同県姫路市の農家を招き、店頭で朝市を開催。「野菜に興味を持ってもらえるなら、買わなくてもいい」。残った野菜は全て店で買い取り、場所代も無料。赤字覚悟で始めた。毎月、季節の野菜が並び、スーパーなどには出回らない珍しい野菜も。「味が濃い」と好評で、話し好きの農家夫婦の人柄にほれ込むファンも多い。苦労話や栽培環境などを生産者から直接聞くことが信頼感を生み、客は「安心」も買うことができる。

 また11月には、5、6人の参加者とともに畑に出向き、収穫を体験する。参加者は土に汚れながら野菜を触り、その場で農家の話を聞く。参加者は味や値段だけでなく、生産者や栽培方法を基準に野菜を選ぶようになるという。「野菜への意識が確実に変わる」。生産者と消費者をつなぐ喜びを実感する。

 新型コロナウイルスの影響で野菜の出荷先が減り、生産者は苦境にある。「今だからこそ生産者とのつながりを」。独立から10年。これからも顔と顔を突き合わせた人の輪を広げていく。(村上貴浩)

【メモ】2009年に四国八十八カ所を巡礼するお遍路さんをしていたことから「お遍路交流会」を毎月開催している。店の内装にもお遍路で出会った絵師が描いた花の絵をあしらい、全体がぬくもりのある設計にしたという。

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