搬送中の救急車とドクターカーの合流地点「ドッキングポイント」の協力店登録制度が、兵庫県尼崎市内で始まった。これまでは公共施設や道路脇などに停車して合流していたが、駐車場などのスペースがある店を登録することで円滑に合流し、一刻を争う患者にいち早く医療処置を施す。協力店となったコンビニや薬局9カ所にはステッカーを掲示し、利用客らにも理解を呼び掛ける。(大田将之)
医師や看護師、救急救命士らを乗せたドクターカーは、心肺停止や意識障害など緊急度が高い場合などに消防の要請を受けて出動。医師が救急車に乗り込むか、医療設備を搭載したドクターカー側に患者を移し、病院までの道中に処置を行う。
同市内では、県立尼崎総合医療センター(東難波町2)と関西ろうさい病院(稲葉荘3)が1台ずつ保有し、2019年度の出動要請は計約350件に上った。
一方、建物が密集する同市では合流するためのスペースが限られ、県道の尼崎宝塚線や尼崎池田線など交通量の多い幹線道路で合流するケースも少なくない。安全に合流できる場所の確保が課題として浮上し、同センターと同病院、市消防局の3者が、立地や敷地の広さなどを踏まえて市内の店舗などに協力を要請。今月から運用が始まった。
同センターと同病院でドクターカーを担当する医師たちは「安全で確実にドッキングして時間の無駄をなくせば、救命率の向上につながるはず」と期待。阪神間を中心に市外への出動もあるといい「尼崎での取り組みを近隣市にも広げていくことができれば」と話す。
