兵庫県西宮市の大市地区で明治時代より生産されてきた伝統野菜「大市茄子(おいちなす)」をPRする「門戸食文化のお祭り」が23日、阪急門戸厄神駅周辺で開かれた。ナスの特徴を生かした創作料理が飲食店で振る舞われ、地元住民らが旬の食材を存分に味わった。(風斗雅博)
主催する「門戸厄神地域活性化実行委員会」などによると、大市茄子は明治初期、不作が続く大市村で「早く育てられる野菜を」と考えた農民2人が栽培。冬場に種を植え、寒さを避けるためむしろや和紙で囲って育てると6月には立派な実を付け、広く評判になったという。
品種改良の波に押され、店頭に並ばなくなっていたが、15年ほど前から復活した。現在は同市の農家、松山嘉次さん(80)らが生産を続ける。祭りはそんな地元の伝統野菜の歴史や文化を知ってもらおうと、同委員会が8年前から毎年開催している。
今年は新型コロナウイルス対策として密を防ぐため、会場を分散させた。農産物販売コーナーでは150個以上の大市茄子が、30分足らずで完売する盛況ぶり。また、飲食店2店ではカレーやパスタ、ピザなど多彩な調理法でご当地食材を引き立て、客の笑顔を誘った。屋外ではフリーマーケットなども開かれ、親子連れでにぎわった。
ナスカレーを食べた同市門前町の団体職員の男性(28)は「皮も食べ応えがあって、うま味も詰まっている。これが地元の野菜なんて誇らしいです」と話した。
