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地元の尼崎城を背景に、8千席到達を喜ぶ壽文寿さん=尼崎市御園町
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地元の尼崎城を背景に、8千席到達を喜ぶ壽文寿さん=尼崎市御園町

 「福祉落語家」を名乗り、高齢者らに笑いを届け続ける壽文寿(ことぶきもんじゅ)さん(59)=兵庫県尼崎市=が、高座8千席を達成した。小学5年生で初めて舞台に上がり、芸歴はすでに48年。「地域の人たちに、もっともっと笑いを提供したい。死ぬまで頑張りまっせ」と意気込み、1万席を目指す。(中部 剛)

 小学生のころ、吃音(きつおん)で悩んで不登校を経験。その克服のために落語を始め、のめり込んだ。

 地域の催しなどで高座を務めていたが、1995年の阪神・淡路大震災が転機になった。仮設住宅で相次いだ孤独死にショックを受け、ひとときでも笑って過ごしてほしいと思い、神戸市や阪神間などの仮設住宅を巡った。

 98年4月から「福祉落語家」を名乗る。事務所に所属せず、ギャラ交渉はしない。先方の予算に合わせ、福祉に役立つ催しであれば喜んで高座に上る。仮設住宅が解消された後も高齢者が集まる地域の催し、福祉施設などで続けている。

 古典落語だけではなく、吃音や不登校の経験を小学校で語ったり、高齢者向けの健康講話、防災情報を盛り込んだ小噺(こばなし)を披露したりする。口コミで評判が広がり、関西を中心に年400席ほどをこなす人気ぶりで、昨年は約460席に上った。

 節目の8千席を目前にしながら、新型コロナウイルスの感染拡大で催しが相次いで中止になった。2月下旬から出演の機会がなくなっていたが、7月15日に兵庫県川西市内のデイサービス施設で4カ月半ぶりの高座に。同18日に同県猪名川町の飲食店で「夕立屋(ゆうだちや)」を披露し、ようやく8千席に届いた。

 飛沫(ひまつ)防止用のビニールシート越しに一席伺う、勝手の違う高座となったが、いつものように大きな身ぶり手ぶりを交え、客席の笑いを誘った。文寿さんは「久しぶりで緊張しましたわ。うまい落語ではなく、皆さんにたくさん笑ってもらえる“楽語”にこだわります」と顔をほころばせた。

 ファンの男性(71)=川西市=は「文寿さんが出演する会場の周辺は、お年寄りの手押し車が並ぶんです。普通の演芸場にはない雰囲気。これが福祉落語家のすごさです」とたたえていた。

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