阪神

  • 印刷
村上由季さん
拡大
村上由季さん

■村上由季さん(兵庫県尼崎市)

 その土地特有の草木を使って染める「産地染め」で、尼崎の色を表現する。伝統野菜の尼イモや富松一寸豆など、尼崎ならではの植物を染料にして染めた布や糸は、やわらかい彩りを見せる。

 尼崎北高校を卒業し、現在の京都芸術大学に進学。先輩の作品を見て、今まであった草木染の地味なイメージが変わった。「鮮やかなのに、あたたかみや深みがある」。その先輩に“弟子入り”し、授業後にいろはを学んだ。一方で「アート」に対する敷居の高さがあることも感じていた。地元の友達が作品展に訪れても、どこかポカンとしているように見えた。染めを身近に感じてもらいたかった。

 大学4年のころ、先輩が企画したワークショップを手伝った。参加した親子は、地元産のお茶を飲み、その茶葉を染料にして草木染を体験していた。自然に染色に親しむ様子を見て、「こういうのがいいなあ」とかみしめた。同大学大学院に進み、産地染めをスタートした。

 2018年9月、台風21号が尼崎市を襲い、阪急武庫之荘駅北側のヒマラヤスギが強風で倒れた。無残な姿に絶句したものの、とっさに思い立った。「駅前のシンボルを色で残そう」。撤去中の作業員に声を掛け、大量の枝葉をもらって帰った。それから約3カ月、ずんどう鍋で枝葉を煮出し、染めた布をひたすら縫い合わせた。細い布を木肌のようにつないでつり下げ、大木の姿を表現した作品は注目を集め、地元でも展示された。

 創作は1人で黙々と打ち込むものと思い込んでいたが、産地染めを通じ、深まった地域との交わりは価値観を変えた。尼芋奉納祭では、宮司が着る装束を尼イモで染め、司会も務めた。広がった人脈が企画展の機会も呼び込んだ。「尼崎には良い意味でお節介な人がたくさんいる。おかげで自身の創作の世界も広がった。これからも尼崎の魅力を色にして、伝えていきたい」。25歳。(大田将之)

【メモ】大学院修了後は神戸市内のマットメーカーの開発部門で働く日々。草木染マットの商品化をひそかに夢見ている。試しに染めたところ、社内で好評だったという。「彩華ラーメン」とロックバンド「バンプオブチキン」が好き。

阪神の最新
もっと見る

天気(10月26日)

  • 21℃
  • ---℃
  • 0%

  • 21℃
  • ---℃
  • 0%

  • 21℃
  • ---℃
  • 0%

  • 22℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ