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同性カップルでのラブホテルの利用を拒まれた男性=尼崎市内
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同性カップルでのラブホテルの利用を拒まれた男性=尼崎市内
尼崎市パートナーシップ宣誓制度の受領証を手にする男性=尼崎市内
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尼崎市パートナーシップ宣誓制度の受領証を手にする男性=尼崎市内

 兵庫県尼崎市内のラブホテル2カ所が5月、男性カップルの利用を拒否したとして旅館業法に基づく市の行政指導を受けた。「自分は差別を受ける立場なんだとまざまざと突きつけられた」「同じ人として見られていないのかな」-。利用を断られた男性(35)は取材に複雑な心境を吐露し、性的少数者に対する差別のない平等な社会を願った。(大田将之)

 男性は、2018年からパートナーの男性(35)と尼崎市内で暮らす。今年2月には同性カップルなどを婚姻に準じた関係と認める「パートナーシップ宣誓制度」に申し込み、受領証を得ている。

 大型連休中の5月5日、2人は新型コロナウイルス禍の中での遠出を避け、「少しでも旅行気分を味わいたい」と、市内のラブホテルへ足を運んだ。1カ所目のホテルは、インターネット上の口コミなどで同性カップルでの利用ができるとされていた。男性従業員の受け答えは丁重だったものの「男性同士はお断りしています」と拒まれた。

 あきらめ、近くにあった別のラブホテルへ。断られる恐怖心からパートナーに外で待ってもらい、男性が1人で男性同士での利用を申し出た。すると、受付の女性は「(ゲイカップルは)使い方が荒いから」などと激しいけんまくでまくし立てた。パートナーシップ宣誓制度のことを説明し「明確な差別です。傷つきました」と伝えても、聞く耳を持ってもらえなかった。

 「僕たちは普通ではなくて、2級市民のような、劣等な立場なのかな」。肩を落とし、自宅へ帰った。

 厚生労働省は18年、旅館業における衛生等管理要領を改正。性的指向などを理由に宿泊を断らず、適切な配慮をするよう明記した。利用拒否から3日後、男性から相談を受けた市は、ホテル2カ所を立ち入り検査し、指導した。

 その後、男性は市内のラブホテルに電話し、男性同士での利用の可否を聞いた。断られた2軒を含めて18軒のうち、7軒は「利用できない」と回答。男性同士では利用できないのに、女性同士なら受け入れるケースが多数を占めた。「利用できる」としたホテルでも、男性同士の場合は2倍の料金を請求するなど、差別的な対応が目立った。

 「男同士でも大丈夫ですか」と尋ねると、「うんこまみれにしなければ」と言い放ったホテルもあった。男性は「もう少し理解が広がっているかと思っていた。現実はまだまだ変わっていないんだ」と実感した。

 尼崎市による行政指導の記事がメディアに取り上げられると、「店側にも選ぶ権利がある」「他の店にいけばいい」といったコメントがネット上に寄せられていた。それでも「待ってるだけでは何も変わらない」との思いから取材に応じた。宣誓制度など支援の仕組みができ、性的少数者に対する理解の広がりは感じる。電話をかけた中には「当然利用できます」と自然に応じてくれたホテルもあった。「社会全体が過渡期にあると思う。昔よりは声を上げやすくはなっている」

 差別的な経験は今回が初めてではない。数年前、市内のリサイクル業者に荷物の引き取りを依頼した。荷物の確認のため、業者の従業員が自宅を訪れたが、親密な2人の様子を見ると「もういいです。帰ります」と露骨に嫌悪感を示し、逃げるように立ち去った。スポーツジムでパートナーと同じ水筒を使っているだけで「ホモやん」「ガチっぽくない?」とあざ笑われたこともあった。

 「他人に対して当たり前の配慮や思いやりが、同性愛者に対してはなくなってしまう人がいる」と男性はうつむく。「僕も含め、ゲイである自分に自信が持てず、自己肯定感が低い人は多い」という。そんな中で差別的な経験がトラウマ(心的外傷)となり、恋人がほしくてもあきらめてしまったり、心の病になったり、引きこもりがちになったりするケースも見聞きしてきた。男性は「ゲイである自分を否定し、前向きに生きられなくなる」と危機感を口にする。

 異性同士のカップルと同じように、断られる心配なく、きれいな部屋やコンセプトが楽しいホテルを自由に選びたいだけなのに…。男性は「決して特別な権利を主張しているわけではない」と前置きし、淡々と言った。「一般市民として、普通に暮らしたい。ただそれだけなんです」

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