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長女の中山美咲さん、凱さん夫妻の結婚式で歌う木村司さん=神戸市中央区
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長女の中山美咲さん、凱さん夫妻の結婚式で歌う木村司さん=神戸市中央区
木村扶満枝さん
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木村扶満枝さん

 ♪大空の向こうで神様の優しい瞳が/いつでも見守ってる

 ロックバンドでボーカルを務める兵庫県尼崎市の男性が、このほど神戸市であった長女の結婚式で自作の歌を披露した。震災復興イベントなど大きなステージには何度も立ってきたが、家族に向けて歌うのは初めて。歌詞は2年前に亡くした妻が神様となって新郎新婦を祝福する内容。アップテンポなサウンドに乗せ、あふれ出る妻と娘への思いを熱唱し、祝宴を盛り上げた。(那谷享平)

 男性は、5人組アマチュアバンド「フリーダム」のボーカル木村司さん(56)=尼崎市。本業は兵庫県警の警察官で、ボーカル歴は約40年に及ぶ。式では「泣かずにやり通せるから」との理由で、あいさつではなく、得意の歌での祝福を選んだ。

 司さんは当初、長女中山美咲さん(29)の結婚に反対していたという。結婚を後押ししたのは、亡くなる直前の妻扶満枝(ふみえ)さん(享年55)だった。

 美咲さんが両親に結婚の意思を伝えたのは2018年10月。場所は肺がんで入院する扶満枝さんの病室だった。進行度はステージ4。美咲さんには早く結婚して母を安心させたいとの焦りがあった。

 一緒に聞いていた司さんは戸惑った。「今、ここでする話か!」。相手の凱(がい)さん(26)とはこの時が初対面。交際期間が半年と短いことも心配だった。妻も同じ気持ちだと思っていた。

 しかし1カ月後、扶満枝さんは司さんに黙って婚姻届の保証人欄に署名していた。美咲さんによると、扶満枝さんは当時、病床で息をするのもつらい状態だった。それでも美咲さんがお願いすると「わぁ、緊張するわ」と穏やかにほほ笑み、ゆっくりと空欄にペンを運んだ。書き終えると安心からか、涙が頬を伝った。

 12月になってその事実を知った司さんは「お母さんが名前を書いたなら」と、2人の結婚を認めることにした。同じ月の24日、扶満枝さんが息を引き取った。

 司さんはその後の娘夫婦の幸せそうな様子を見るうち、あの署名が「妻から長女への最後の贈り物だった」と考えるようになった。それが式で歌う曲の着想にもなった。約1カ月かけて作詞作曲し、メンバーと練習を重ねて臨んだ本番。ドレス姿の娘と妻の遺影を前に、ロックバンドのボーカルらしく力強く歌い上げた。

 ♪世界で一番幸せになるって/神様が太鼓判

 ♪届けてあげて/ありがとうって

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