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 66%→62%→59%

 兵庫県伊丹市がまとめた2015年度から2年刻みの自治会加入率だ。1995年の阪神・淡路大震災より前は90%を超えていたが、坂道を転がるように低下。市は70%を目標とするが、底を打つ兆しは見えない。

 「働き盛りが入ってくれない」。市中心部で自治会長を務める男性(76)は漏らす。マンション建設が相次ぎ、30~40代のファミリー層が増えた地域。自治会は夏祭りや餅つき大会などを積極的に開くが、加入にはつながらないという。

 男性は「同じ“共同体”の一員として、関心を持ってほしい」と現役世代に不満を漏らした。

 だが協働のまちづくりに詳しい近畿大学の久隆浩教授は「若い世代だって地域社会に関心はある。体質が古い自治会にそっぽを向いているだけ」と指摘する。

 市内の自治会は7年前に211あったが、解散や休止が相次ぎ、現在は200まで減った。市は「空白地帯が増えている」と防災力の低下、高齢者の見守りへの影響を懸念。阪神北地域で唯一の人口増を続ける伊丹でも、コミュニティーの空洞化が進みつつある。

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 宝塚市で昭和40年代に開発され、高齢化の進む中山台ニュータウン。ここに来年4月、児童数の減った2小学校を統合して小学校が新設される。

 「市教育委員会が『統合するもしないも住民に任せる』と言ってきた。もし最初から統合ありきで押し付けてきていたら、猛反発があったはず」。2年に及ぶ話し合いを主導したまちづくり協議会「中山台コミュニティ」の役員、飯室裕文さん(74)が振り返る。

 市教委は16年、まち協に「議論の枠組みをつくってほしい」と打診。まち協が呼び掛け、保護者や子育てグループ、自治会などの加わる検討委員会ができた。

 「地域の明かりが消える」と反対もあったが、最終的には「一定の学校規模を維持する方が子どもたちのためになる」と合意。18年4月、統合を求める意見書を市教委に提出した。

 この間、積極的に発言したのは若い世代だった。新設校に長女が通うことになる40代女性は「議論は透明性があり、納得できた」と語る。久教授は「行政が住民を信頼して任せ、多くの世代が責任を持って意見をまとめた。成熟した協働のあり方だ」と評価する。

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 宝塚市は、早くから小学校単位のまち協設立に動き、全国で2番目にまちづくり基本条例を定めた「協働の先進地」だ。

 近く完成する新総合計画には、市内20のまち協が地域ごとに定めた「まちづくり計画」を正式に位置づける。異例の取り組みに、市は「地域が決めたことを、市が責任を持ってやるという決意表明」と話す。

 少子高齢化は税収減に直結し、行政の担える「公の領域」は必然的に小さくなる。市民との協力のあり方が、地域の未来を左右する。(この連載は西尾和高、山岸洋介、竹本拓也、久保田麻依子が担当しました)

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