阪神間コロナ1年、影響ここにも【スポット編】かんなみ新地
2021/03/08 05:30
緊急事態宣言が解除され、時間を短縮して営業しているかんなみ新地=尼崎市神田南通3
兵庫県西宮市で県内初の新型コロナ感染者が確認されて1年が過ぎた。ステイホーム、3密防止、マスク必携、オンライン…。今も続く疫病禍は、緊急事態宣言で自粛要請を出された飲食店以外にも広く及んでいる。阪神間のまちを巡って、これまでクローズアップされてこなかった各界の影響を聞いてみた。(大田将之、竹本拓也、村上貴浩)
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■風俗街もそろり開業
「感染拡大を防ぐことを最優先とし、当面のあいだ臨時休業とさせていただきます」
狭い通りに“飲食店”約30軒が連なり、遊郭の名残を残す尼崎市の通称「かんなみ新地」(同市神田南通3)。緊急事態宣言中はそんな張り紙をして営業を自粛していたが、3月1日から開業時間短縮で再開した。
午後6時前、数人の男性がうろうろしだすと、店の扉が開いてピンク色の明かりが漏れ出した。
「もうボロボロや」。店外で井戸端会議をしていた50代の女性が言った。宣言中も営業を続けた風俗店も多い中、組合で店を閉めることを決めたという。「食べるのもままならんくて、空気を食べて生きている感じ。みんなで協力してこれからやっていくしかない」
40代女性は「地域のためにも勝手に店を開けるわけにはいかない。どうしようもなかった」とため息交じりにつぶやいた。
遊郭は1958(昭和33)年の売春防止法完全施行で廃止されたが、「飲食店」の許可で営業を継続した店が集まったといわれる。
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