阪神間コロナ1年、影響ここにも【暮らし編】ミシン店
2021/03/09 05:30
ミシンを修理する藤本崇秀さん=宝塚市伊孑志、ミシンのフジモト
コロナ禍は人々の暮らしも一変させた。娯楽や衣食住に関わる仕事の変化について聞いた。(大田将之、中川 恵)
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■修理依頼が10倍に
「人気のラーメン店みたいになって信じられなかった」。兵庫県宝塚市伊孑志のミシン販売店「ミシンのフジモト」の3代目店主藤本崇秀さん(64)が振り返る。
普段の客入りは、裁縫の愛好者やミシン教室の受講者ら1日10人前後だった。それが昨年3月から6月にかけ、ミシンの買い換えや修理依頼が殺到し、店の前に行列ができたという。
「1934年の創業以来、初めての光景。ほかの地域の同業者たちも同じ状況だったらしい」
理由は「マスク」。昨春に品薄状態が社会問題化する中、自宅で手作りするブームが巻き起こった。
ミシンはほとんどが海外で生産しており、流通や生産ラインがストップして品薄に。それでも若い世代や遠方の客が次々と店にやってくる。押し入れの奥で眠っていたようなミシンの修理依頼は約10倍に膨らみ、ピーク時には修理待ちが店内に30~40台も並んだ。
藤本さんはドライバーやピンセットを操り、深夜まで壊れたミシンと向き合った。一時は限界量を超えて受け付けを休止した。
マスク不足が解消されて落ち着いたが、今も機種によっては品薄が続く。「苦しい業種も多い中、変わらず商売ができることはありがたい」としみじみ。「今回を機に裁縫にハマった人も多く、特需で終わらないようミシンの魅力やおもしろさを提案していきたい」
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