レオポン続く受難 17年で毛皮退色 展示施設廃業で“すみか”失う

2021/03/14 05:30

日差しを浴び、右半身を中心に退色が進むレオポンの剥製=リゾ鳴尾浜(撮影・斎藤雅志)

 幻のレオポン、安住の地はどこに-。こんな話題を13日付夕刊で紹介した。ヒョウの父、ライオンの母を持つ動物レオポンの剥製が、展示されている兵庫県西宮市鳴尾浜3のリゾート施設「リゾ鳴尾浜」の廃業に伴い、居場所を失ったという内容だ。取材で剥製と初対面したとき、資料写真との違いに「え!?」と思わず声が出た。体の半分近くで毛皮が色あせ、特徴であるヒョウ柄は消えそうなほど薄くなっていた。(山岸洋介) 関連ニュース 【写真】飼育されていた頃のレオポン 【写真】レオポンの剥製。施設内の備品を運び出す作業を不安げに見つめているかのようだ 絶対食べないで 有毒魚「ソウシハギ」に注意

 “犯人”は、さんさんと降り注ぐ日光。剥製は幅2・4メートル、奥行き1・4メートル、高さ1・7メートルの透明ケースに収められ、リゾ鳴尾浜の入り口すぐ、日当たり抜群の吹き抜けスペースで約17年前から展示されてきた。
 特に日光の当たる右半身は腹部や脚を中心に退色が進行。剥製を保有する西宮市の担当者は、昨年秋にリゾ鳴尾浜の廃業が決まって同施設を訪れた際、あらためて剥製を見て「驚いた」という。
 「標本バカ」と題する著書があり、剥製など標本づくりの専門家である国立科学博物館の川田伸一郎研究員は、常設展示の状態では「ある程度の退色はやむを得ない」としつつ、これ以上の劣化を防ぐためには「博物館など環境の整った場所で保管する方がいい」と語る。
 市は新たな保管・展示の場所を探している最中だが、担当者は「まずはケースに覆いを掛けて光を遮るなどの処置を講じる」としている。数奇な運命をたどるレオポン。早く安息の日々が訪れるよう願いたい。

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