宝塚市消防隊員処分 半強制的にゲーム参加、後輩に暴言
2021/03/17 05:30
会見で謝罪する宝塚市消防本部の幹部=宝塚市立中央公民館
兵庫県宝塚市消防本部で隊員8人が勤務中にオンラインゲームで遊び、さらに主導していた男性消防指令補2人(AとB)の後輩へのパワーハラスメントが明らかになった。幹部を含めて計15人が処分される異例の事態になり、石橋豊消防長ら幹部4人が16日、市立中央公民館(末広町)で会見し謝罪した。主なやり取りは次の通り。(西尾和高、大田将之)
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-AとBが主導的にゲームをさせるいきさつは
「もとは8人のうちの1人が休憩時間にやっていた。それをAとBが見て興味を持ち、やってみようとダウンロードしたことから始まった。他の隊員にも声を掛けていった」
-無理やりやらせたのか
「当初は『おもしろいからやってみないか』という誘い。強制的ではなかった」
-ABと、その他の6人の処分の差は
「AとBは係長に代わって指揮を執り、監督しないといけない責務を持っている」
-処分の根拠は。甘いのでは
「過去の処分例に照らして、専門家の意見も参考にした。適切な処分だと思っている」
-なぜこのような問題が起きたと考えているか
「消防行政の根幹は現場対応。火災であれ救急であれ、組織に対する全幅の信任の上で成り立っている。職責に対する自覚が足りていない職員がいたということに尽きる。現場を預かる係長職が長きにわたって見逃していたことも残念。恥ずかしく、重ねておわびをしたい。当事者も私(消防長)も、市民に対する裏切り行為があったことについては反省している」
-命に関わる仕事。出動が遅れたケースはないのか
「災害対応に遅れが生じた事案はない」
-通報はいつ誰から
「2020年10月31日に、市の広聴メールへ。電話番号やメールアドレスが書かれていてこちらから連絡したが、いずれも使われていなかった」
-消防本部の内部からの通報では
「否定はできない」
-8人からの返還額は
「計60万4308円。1月の給料から引いた」
-どれくらいの時間ゲームをしていたのか
「8人トータルで123時間15分。Aが21時間、Bが31時間30分、Cが26時間45分、Dが6時間15分、Eが9時間、Fが7時間、Gが19時間15分、Hが2時間30分。日数はAが84日、Bが126日、Cが107日、Dが25日、E36日、F28日、G77日、H10日」
-AとBがいない日でもゲームはしていたのか
「していた。ただ多くの場合はAとBが呼び掛けてゲームをしていた」
-上司は気付かなかったのか
「2階建ての1階でゲームをしていて、係長は別の階にいて知らなかった。上司にはばれないようにしていた」
-パワハラの内容は
「AとBが半強制的にゲームに参加させていた。2人はサイクリングが趣味で、後輩職員を頻繁に誘い、半強制的にロードバイクに乗らせていた。後輩の隊員を、休みの日にほぼ毎日練習に付き合わせていた。『用事がある』と後輩がレースへの参加を断ると、用事が本当かどうか確認しに後輩の自宅まで行った。さらにトレーニングとして三田市内にある後輩の自宅から宝塚市内の職場まで自転車で通勤するよう言い、後輩は断れずに片道約21キロを自転車で通勤していた」
「さらにBは、この後輩が業務でミスをした回数を数え、その数だけ肩を叩いたり、身体的なことを侮辱するような暴言を普段から浴びせたりしていた。どついたというよりは、悪ふざけが加速していったような感じ」
「AとBはしつこく誘い、断ると威圧的な態度で対応していた。後輩は恐れを感じ、断れなかった。AとBが、思い通りにことが進まないと機嫌が悪くなることがあったとのこと。その当たりは加味した」
-Bが後輩に言った暴言とは
「体型について『なんでそんなに太ってるの』『ブタ』などと言った」
-パワハラはどういった流れで認定した
「消防本部内の委員会で審議し、市のパワハラやセクハラに関する要綱、弁護士の意見などを踏まえた。後輩側からハラスメント被害の訴えがあったわけではなく、我々が調査の中でハラスメントに当たると判断した。後輩本人は『指導だと思っている』と言っている」
-報復が怖くて言えないだけでは
「違う。それは私たちも本人に何度も確認した」
-8人は事実を認めているのか
「ゲームについては認めている。パワハラについては、認識が違う部分もある。サイクリングについては、当初から後輩を強引に付き合わせたというわけではなく、自転車通勤も、AとBは後輩が『体力が落ちた』と言うから、通勤時間も有効活用できるのではないかと思って勧めたと話している。AとBは『レースで勝つために強くなりたい』という思いで、無理やりとの認識はなかったとのこと」
-他に同様の事案は
「西消防署を中心に聞き取りを行ったが、類するような事案はない」