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伊丹市東野地域の特産品の南京桃(伊丹市農業政策課提供)
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伊丹市東野地域の特産品の南京桃(伊丹市農業政策課提供)
品種の保存作業をする農家ら(阪上芳孝さん提供)
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品種の保存作業をする農家ら(阪上芳孝さん提供)
梅の木が大量に処分された緑ケ丘公園で見頃を迎えている桜=伊丹市緑ケ丘1、緑ケ丘公園
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梅の木が大量に処分された緑ケ丘公園で見頃を迎えている桜=伊丹市緑ケ丘1、緑ケ丘公園

 コロナ禍の中、兵庫県の阪神間では別のウイルスとの闘いが4月1日、8年越しに終わる。梅や桃の木に感染する「ウメ輪紋病」。伊丹市の大半と宝塚、川西、尼崎3市の一部が国の「緊急防除区域」に指定されて流通が規制され、これまでに伐採、焼却された木は約35万本に上る。農家たちを苦しめた疫病禍は節目を迎え、伊丹市特産の鉢植え「南京桃」の生産もようやく再開。梅の名所だった伊丹の緑ケ丘公園は桜の名所に生まれ変わっている。(村上貴浩)

 梅や桃の苗木産地として400年以上の歴史がある伊丹市東野地区。南京桃は伝統技術の真骨頂として知られ、生産者らは「伝統を再びつなぐことができてうれしい」と喜びつつ、8年の“後遺症”も懸念する。

 2012年7月、伊丹市で感染が確認されると、宝塚、川西、尼崎市でも相次いで見つかった。国指定の重要病害で葉が変色し、果実が成熟前に落ちてしまう。アブラムシが媒介したり、接ぎ木したりすることでウイルスが広まる。

 感染の恐れのある苗木は伐採して焼却処分した上、植物防疫法に基づき、地域から苗や盆栽、花、葉の持ち出しが原則禁止された。苗木農家や園芸店では取り扱いがストップし、生産も止まった。

 県などによると、感染樹の買い上げ補償はあるが、営業損失への手当てはなく、伊丹、宝塚、川西3市の市長が国に要望してもかなわなかった。規制は当初予定の「3年」を過ぎても延長され、アブラムシの駆除も進めて昨年12月、専門家らの会議でようやく今年3月末で延長しないことが決まった。

 市民の観梅会などで知られた伊丹市の緑ケ丘公園では、約400本の梅がすべて伐採された。そこで市は17年春、米首都ワシントンで「日米友好の証し」とされる桜並木の基になった苗木が伊丹産であることをPRしようと、梅林に代わって桜を植栽。今年も見頃を迎えている。

    ◇

 1本の木に3色の花が咲く鉢植え「南京桃」は、お祝い品として重宝され、伊丹市東野地区が生産シェアの99%を占める。2008年には全国に9万3千鉢を出荷したが、12年から8年ぶりの再開でどれだけ回復できるかは未知数だ。

 伊丹市南京桃ブランド実行委員会長の阪上芳孝さん(56)によると規制期間中、農家らは裏作として手掛けるサツマイモの生産に力を入れたり、オリーブ栽培を始めたりして生計を立ててきた。ただ、それらが軌道に乗ったことで南京桃の生産をやめてしまった農家もあるという。

 一つには、南京桃作りの膨大な手間がある。1年目の台木作り、2年目の芽接ぎなど出荷には約3年を要し、丸みを帯びた枝のしだれは、地区農家らの高い技術力があってこそ。それゆえに価格設定も難しく、実際には約2千円で販売しているが、労力に見合っていないという現実がある。

 阪上さんらは、国の規制後も接ぎ木に使う品種を防除用ハウスで保存し続けてきた。「伝統を守り、良いものを-。そんなプライドを持って作り続けたい」。例え数量は減っても、ブランド価値を高めていきたいと誓う。(村上貴浩)

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