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兵庫県こころのケアセンターの加藤寛センター長=神戸市中央区脇浜海岸通1
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尼崎脱線事故から16年を迎えた朝、現場付近を通過する電車内で黙とうする乗務員=25日午前、尼崎市久々知3(撮影・斎藤雅志)
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尼崎脱線事故から16年を迎えた朝、現場付近を通過する電車内で黙とうする乗務員=25日午前、尼崎市久々知3(撮影・斎藤雅志)
電車内で手を合わせ、事故現場を通過する乗客=25日午前、尼崎市久々知3(撮影・大田将之)
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電車内で手を合わせ、事故現場を通過する乗客=25日午前、尼崎市久々知3(撮影・大田将之)
花束を持って現場に訪れた男性=25日午前9時37分、尼崎市久々知(撮影・鈴木雅之)
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花束を持って現場に訪れた男性=25日午前9時37分、尼崎市久々知(撮影・鈴木雅之)

■第三者の支援が必要

尼崎JR脱線事故で、1両目から生き残った4人の心境について、県こころのケアセンター(兵庫県神戸市)の加藤寛センター長(62)に聞いた。

 -罪悪感を抱いていた。

 「サバイバーズ・ギルト」といって脳の当たり前の反応だ。脱線事故は日常の中で生死が紙一重となり、自分の上にたくさんの遺体があるなど死を間近に、グロテスクな状況に接した。衝撃的なトラウマ体験だ。

 無傷だったとしても「なぜ私が助かってしまったんだろう」「自分が悪かったんじゃないか」と否定的になる。遺族も同じで「駅まで自分が送り、家族をあの電車に乗せたのは私」などと思ってしまう。

 -事故後、JRとのやり取りは多くの被害者にとって負担となった。

 賠償という難しいプロセスがあり、被害者はつらい思いをした。ただ、加害側がメンタル面をサポートするには限界がある。JR側が心をこめても被害者は素直に受け入れにくい。

 米国では大規模な災害や事故があると、赤十字などを中心に家族サポートチームを設ける。日本では「加害側がしなさい」となりがち。第三者の立場から支援する態勢を整えることができればよいのだが。

 脱線事故を教訓に、国交省は大事故が起きた時の支援を考える部署をつくり、支援方法を学ぶようになった。意識の変化は大きい。

 -遺族や負傷者同士のつながりは重要だった。

 集いは感情を分かち合い、賠償や訴訟に関する情報も得られる。一方で、そういう場に出てこられない人への支援が一番難しい。閉じこもってしまう人にどうケアを届けるか。自然災害でも同じだが、一番ケアを必要としている人に届かない。その人たちが動ける時に支援を受けられるよう、情報提供はしておきたい。

 -心のケアの専門機関として被害者と向き合った。

 ピーク時は約30人の乗客や遺族がカウンセリングに訪れ、今も利用されている。ただ、当初は情報がなかった。負傷者名簿を持つJRと県警は個人情報保護や捜査を理由に出せないといい、何度も要望して約半年後にJRが名簿を出した。全負傷者にアンケート調査をして支援につなげた。

 事故から14年を前に負傷者20人に自由に語ってもらって分析すると、生き残ったことへの罪悪感が色濃く出た。アンケートの数値だけでなく、語りにこめられた情報はとても多い。

 -身近な人がサバイバーズ・ギルトを抱いたら。

 否定的になっているところに輪を掛けるようなことは言わない。「生きていてよかった」というメッセージを押しつけがましくならないように伝えたい。寄り添い、電車に乗れないのであれば車で送ってあげるなど現実的な支えも大切だ。

 相手が望み、必要としていることを考える。「腫れ物に触るように接してほしくない」と思う人もいる。

 事故から16年がたった。月日が過ぎても、心を痛め続けている人がいるということは知っておいてほしい。(大田将之)

=おわり=

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