武庫川女子大生2人、奈良と大阪で聖火つなぐ 無観客でも走る喜び
2021/05/09 05:30
聖火を手に笑顔を見せる吉田智美さん(本人提供)
武庫川女子大学(兵庫県西宮市池開町)の学生2人が奈良と大阪で東京五輪の聖火ランナーを務めた。「大好きな宇宙の魅力を多くの人に伝えたい」「高校時代支えてくれた部員に感謝の気持ちを伝えたい」-。2人は思いの丈をつづって応募し、無事に走り終えることのできた喜びを語った。兵庫県では23、24日に予定され、国の緊急事態宣言延長の影響で開催方法が議論されている。(中川 恵)
関連ニュース
<問う 地域経済 2024衆院選>製造業 武庫川女子大准教授 山下紗矢佳さん
<Re-born ひょうご(11)武庫川女子大学経営学部准教授・山下紗矢佳氏>幸福の条件 自ら追求、分かち合う余裕も
<Re-born ひょうご(10)武庫川女子大学経営学部准教授・山下紗矢佳氏>うねりの中で 各々がまず小さな変化を
生活環境学部の吉田智美さん(20)=奈良市=が4月11日、奈良県明日香村を走り、大学院文学研究科の梅谷星菜さん(24)=大阪府交野市=は同13日、万博記念公園(大阪府吹田市)内の代替コースを走った。
2人が聖火ランナーに応募したのは2019年春。吉田さんは高校時代弓道部に所属し、自分が国体に出場する際、ほかの部員のサポートが欠かせなかった。「私が走ることで五輪を身近に感じてほしい。そして弓道部員に恩返しをしたい」との思いを込めた。
梅谷さんは中学生のころ星空案内人(星のソムリエ)の資格を取り、観望会などを通じて大人からたくさんのことを教わった。宇宙の魅力を伝えようと思い、聖火ランナーを志望した。
吉報が届いたのはその年のクリスマス。メールを見た2人は大喜び。家族に報告すると、2人の祖母が特に喜んだという。
その後、新型コロナウイルスの感染が拡大し、一時は聖火を車で運ぶ可能性がニュースで報じられると、梅谷さんは「ランナー、いらんやん…」と意気消沈した。しかし延期が決まり、また期待が高まった。
吉田さんは当初通り、明日香村のコースを走ることができた。友人ら約100人からメッセージが届き、沿道からもたくさんの応援を受け「聖火ランナーってすごいことやな」と感じた。もらったトーチを見せると、誰もが笑顔になることがうれしいという。
一方の梅谷さんは、コロナ禍で公道の走行が中止になり、予定された大阪府枚方市内のコースは万博記念公園内に変わった。「連絡が来たのは4、5日前。時間も未定で不安だった」
ただ、無観客だからこそトーチの温かさやパチパチという音を感じられたという。「火を回すだけだと思っていたけれど、自分も周りも感動した。大勢のスタッフに囲まれて、いろんな人と(炎を)つなげて良かった」と振り返った。
3度目の緊急事態宣言が発令され、東京五輪自体の開催を不安視する声もある。吉田さんは「五輪に向けて多くの人が盛り上げている。(無観客など)どんな方法でもいいから実施してほしい」。梅谷さんも「この国でパフォーマンスできて良かったと思える五輪になればうれしい」と話した。