さらば酒蔵の大看板 最後の白鷹も撤去へ 兵庫・西宮

2021/07/07 05:30

撤去作業が始まる直前の「白鷹」の看板=西宮市久保町から

 日本を代表する酒どころ・灘五郷の一角を占める「西宮郷」。西宮の空を見上げればいつもあった酒造会社の看板が相次いで撤去され、最後まで残った「白鷹」(兵庫県西宮市浜町)の看板も7日、ついに工事用の足場に覆われることとなった。親しんできた人たちからは残念がる声も上がっている。(中川 恵) 関連ニュース 【写真】撤去前の辰馬本家酒造の「白鹿」の看板 【写真】「日本盛」の看板。今でもなくなったことを嘆く人もいるという 西宮のランドマーク「白鹿」看板撤去へ 半世紀以上の歴史に幕


 西宮市の「大関」「日本盛」「白鹿」「白鷹」の大型看板は地元のランドマークとして親しまれてきた。しかし1993年に県が屋外広告物条例を更新。その後市の条例となり、2016年の改正で高さや大きさの規制がさらに厳しくなった。
 18年9月には台風21号が襲来し、一部の看板に被害が出た。日本盛が同年10月ごろに撤去すると、条例は以前からある看板にはさかのぼって適用されないが、西宮市は残り3社にも基準に沿うよう指導。19年に大関、20年に白鹿の蔵元・辰馬本家酒造も撤去した。
 白鷹の看板は1973年に本蔵屋上の高さ約20メートル地点に設置され、四角柱状で表面が縦10メートル、横5メートル。各面に漢字やカタカナで記している。
 今年6月下旬、白鷹がインスタグラムに撤去を伝える投稿を上げると「見上げればいつもあったので寂しい」などのコメントが付いた。
 製造部の相貴一郎次長は、昨年訪れた大阪国税局の調査員が「(調査が3年に1度なので)今度来るときには(看板が)ないんですね」と話したのが印象的だという。「あるのが当然の風景が無くなるのは感慨深いです」とつぶやいた。

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