「体触るときは相手の気持ちを確認」「体の性は人それぞれ」…性知識伝えるトイレ紙 小学校に贈呈

2021/11/09 19:05

校内の全トイレに設置される性教育トイレットペーパー。「体のしくみ」「性的同意」など4種類ある=水堂小学校

 性に関する知識を漫画風に描いた「性教育トイレットペーパー」が9日、兵庫県尼崎市立水堂小学校(水堂町1)の全トイレに置かれることになった。尼崎市在住の鶴田七瀬さん(26)が進める全国的な取り組みで、小学校では初めて。「性的同意」「体のしくみ」「セクシュアリティ」「性暴力」の4編があり、鶴田さんは児童らに「嫌なときは『イヤ』と言える気持ちを大切にしてね」と語り掛けた。(竹本拓也) 関連ニュース そっと手渡される生理用ナプキン トイレにあるカード提示で 女子高生が発案、「貧困」と戦う自販機登場 売り上げを子ども食堂に 「どれも反対。なのに、その声は聞かない」制服の全市共通化、保護者ら憤り 神戸市のモデル案投票で

 トイレ紙には、体を触るときには相手の気持ちを確認する▽好きになる性と心の性、体の性は人それぞれ▽男性の精液や女性の生理のしくみ-などが紹介されている。
 小嶋千花校長は「自分の体や心を大切にすることが、周りの人を大切にすることにもつながる」と導入効果に期待を込める。
 鶴田さんは日常生活で性を学べる環境をつくろうと、2018年に一般社団法人ソウレッジ(静岡県)を起業。幼少期から性の知識に触れるツールの一つとして19年に今回のトイレ紙を開発して販売を始めた。
 今秋には米経済誌の日本版「フォーブスジャパン」の記事「世界を変える30歳未満の30人」に、米大リーグの大谷翔平選手らとともに選ばれている。
 鶴田さんはこれまで山形の中学校や東京の学童などに配ってきたが、小学校の全トイレに置くのは初めて。学校への寄贈先を探していたところ、水堂小が国の進める「生命の安全教育」を実践し、性の多様性などの基礎教育に取り組んでいることから協力を決めた。約400個の費用は同団体サポーターからの寄付で賄ったという。
 9日には寄贈式があり、鶴田さんは「みなさんが安全に暮らせるために必要な知識を身に付けてほしい」と代表児童3人に手渡した。6年の中村晴翔君(12)は「性別への思い込みをなくそうというきっかけになると思う」と話した。
 トイレ紙は「ソウレッジ」のホームページから購入できる。

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