「朝のごみ出し」はアートだ! 収集車、ステーション…段ボールで丸ごと再現 美術家2人、尼崎で展覧会

2021/12/15 05:30

パッカー車にごみを運ぶ様子を演じるズガ・コーサク(左)とクリ・エイトの2人組=スペース○○

 段ボールや廃材で創作する美術家による「ズガ・コーサクとクリ・エイト 二人展」が、兵庫県尼崎市七松町2のギャラリー「スペース○○(まるまる)」で開かれている。テーマは、何と「朝のごみステーション」。壁面からごみ収集のパッカー車が飛び出してきたかのような空間を演出し、見る者を驚かせる。18日まで。(小林伸哉) 関連ニュース 【写真】ごみステーションやブロック塀もリアルに表現 【写真】トイレに行くには、作品の一部を開いて向かうしかない 段ボールアート、超精密「ハウルの動く城」 図面なしでペタペタ1カ月

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 リアルさに手作りの温かみ、ユーモアがあふれる作風で人気の女性2人組。「ズガ・コーサク」こと岸川のぞむさん=大阪市=が絵や着色を手がけ「クリ・エイト」こと岡本和喜(わき)さん=兵庫県西宮市=が立体を作る。2009年から交番やバス停、河川敷など身近な風景を題材に各地で30回近い展覧会を開いてきた。
 岸川さんは「一生やろうかな」、岡本さんは「苦しいときもあるけど、楽しくてやめられない」と語るが、2人は「ネタは枯れてきて、体力も落ちてきてますわ…」と本音も漏らす。
 今回は、尼崎市内に実在するマンションなどをモデルに、勤めの傍ら10月から休日に制作した。壁や床、計約65平方メートルを段ボールで覆って造形し、水性ペンキで色づけた。
 段ボール製のマンホールやブロック塀などの質感は本物そっくりの「熟練の技」。虚実入り交じった展示方法も魅力で、捨てられたテレビは精巧な作り物だが、古新聞など一部のごみは実物だ。ギャラリーの備品の冷蔵庫には「不法投棄禁止」と手作りのステッカーを貼った。
 パッカー車のナンバーは「53-53」にして「ごみ」と掛けた。稼働時にはおなじみの曲「赤とんぼ」も流す遊び心もある。
 会期が終われば、パッカー車を表現した作品自体が資源回収のパッカー車に放り込まれる。18日午後6時半以降なら、観客が作品の一部を持ち帰ることも可能で、2人は「よかったら持って帰ってほしいなあ」と願う。
 午後1時半~6時半。入場無料。16日は休み。

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