大学受験料10万円まで給付、返還は求めず 全国でも珍しい制度導入へ 芦屋市当初予算案

2022/02/09 15:38

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 兵庫県芦屋市は8日、2022年度当初予算案を発表した。「庭園都市」と呼ばれるまちのブランド力を高める施策を本格化させる。街路樹整備の業務をまとめて造園業者に委託し、職員は計画づくりに専念する。新型コロナ禍による困窮世帯にも目配りし、伊藤舞市長は「派手さはないが市民に寄り添った予算とした」と述べた。 関連ニュース ベンツ通り、御用聞き、高額寄進…「日本一の高級住宅地」芦屋・六麓荘町 芦屋川、憩いの空間に「排除の石」 街にあふれる尖った敵意、アートの名の下に 動物園に寄付しても、神戸市民だけ年パスもらえません 不満漏らす地元サポーター

 伊藤市長は就任してすぐに「街路樹課」を新設したが、職員が現場対応に追われる状況が課題だった。
 このため、22年度からは造園業者に街路樹整備を委託し、市民からの問い合わせや現場の下見、剪定(せんてい)や害虫駆除を担ってもらう。
 職員は育ちすぎて危険な樹木の植え替えなどの計画をつくる業務に注力できるようになり、人件費削減も期待できるという。
 市は公募の結果、市内の造園業者でつくる「芦屋造園協同組合」を候補にしていると明かした。
 20年度から続けている芦屋川周辺の無電柱化工事は、22年度内に完了させる予定だ。
 一方、新型コロナ禍の長期化などで生活が困窮した人に向けて家計を管理したり、債務整理を支援したりする相談員1人を保健福祉センターに配置する。また、大学受験料を補助するという全国でも珍しい制度も導入し、1人10万円まで給付して返還は求めない。対象は、22年度の受験生からとする。
 議会の反対で約2年間止まっているJR芦屋駅南の再開発事業を巡っては、用地取得費など22億8200万円を計上し、事業を前進させるとした。
 伊藤市長は「再開発は一番の柱。芦屋駅南を核として利便性や交通の安全性を向上させなければならない」と強調し「コロナ禍による財政への影響は想定よりも緩やかだった。議会にはていねいに説明したい」とした。(村上貴浩)
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 大学受験の補助制度は、経済的な事情で進学を諦めることがないようにと2022年度から実施する。低所得層の受験生を対象に上限は計10万円で3校まで。合否は問わず、後に返還は求めない。
 市によると、入学金や授業料については国などの支援策が広がる一方で、受験料は抜け落ちており、市民の寄付で創設した基金を財源に市独自の給付制度を新設する。
 給付の要件は、国の「高等教育の修学支援新制度」の第I区分に認定されていることや、芦屋市に1年以上住所があることなど。大学や短大など学校教育法第1条で規定される学校が対象で、大学入学共通テストも含める。専門学校などは対象外となる。
 申し込みは10月ごろから受け付ける予定で、2月15日に開会する市議会に関連議案が提出される。
 芦屋市教育委員会管理課TEL0797・38・2085(大田将之)

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