尼崎・東園田の総合会館 市が2億円補助も完成後8カ月使えず 工事代金巡り、自治会と業者が訴訟に

2022/04/16 05:30

建物の完成から8カ月、使えない状態が続く東園田町総合会館=尼崎市東園田町4

 兵庫県尼崎市が2億円を補助し、地元自治会が建て替えた東園田町総合会館(同市東園田町4)の工事代金を巡り、自治会と施工業者とが訴訟トラブルになり、完成から8カ月以上たっても使えない事態になっている。契約の経緯には不可解な部分も多く、住民らは16日午後2時から、説明会を開く。(広畑千春) 関連ニュース 6250万円で新築の相撲場、市議要望で予算増額も使われず1年 未だ活用法示されず さらば謎の「赤い球体」 尼崎南署分庁舎解体で撤去へ 発案者不明、込められた願いは… 商業・医療モールも整備可能に 県住「青木団地」の建て替え計画 初の民間資本活用で


 訴状などによると、同会館は阪急園田駅北側にあり、鉄骨4階建てで延べ約750平方メートル。市が園田競馬場の周辺整備事業費から2億円を交付し、2020年9月、地元自治会の「東園田町会」が京都市の施工業者と約1億7200万円で工事契約を結んだ。
 しかし契約後になって、1階のテナント向け設備や会議室の間仕切りなど約6千万円の追加工事費が発生したという。
 建物は21年7月にほぼ完成したが、業者側はこの約6千万円が支払われていないとして自治会への引き渡しを拒否。これに対し、自治会側は「追加工事は事前に知らされていなかった」とし、建物の明け渡しを求めて神戸地裁尼崎支部に提訴し、現在も係争中だ。
 説明会を企画した住民らによると、建て替え計画の設計や見積もりは必要な資格を持たない尼崎市内の業者が手掛け、計画の詳細は自治会の一部役員にしか知らされていなかったという。
 同会館は市の公共施設再編計画で、地区内に公共施設がなくなることから、住民が要望して建て替えが決まった経緯がある。住民らは「早く使えるようにしてほしいのはもちろん、経緯についても明らかにしてほしい」としている。

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