尼崎旅客機墜落事故から58年 乗客の救助中に亡くなった客室乗務員を追悼 神戸「みよし観音」

2022/05/25 05:30

追悼式典が行われたみよし観音像=神戸市灘区六甲山町

 1964年に旅客機が尼崎市に墜落した事故で、乗客を助けようとして亡くなった客室乗務員、麻畠美代子さん=当時=(21)=の追悼式典が24日、神戸市灘区・六甲山の「みよし観音」の前であった。53回目を数え、尼崎JR脱線事故の遺族ら約20人が参列。麻畠さんの冥福を祈りながら安全への願いを新たにした。 関連ニュース 日航墜落機搭乗を直前キャンセル「もらった命大切に」 慰霊と感謝を筆に込める書道家 父救おうとする息子と、羽交い絞めで止めた男性 慰霊祭で25年ぶりに再会 生き埋めになったまま「子どもは?」と心配した妻 病院で告げられた死

 地元の住民でつくる「みよし観音奉賛会」が毎年開催。同会によると、事故は同年2月に起きた。日東航空(現在の日本航空)の飛行機が大阪を出発し、徳島へ向かう途中、尼崎市内の農地に墜落。麻畠さんは機内の乗客の救助をしていた際、爆発に巻き込まれて亡くなった。
 みよし観音像は事故6年後の70年に建立。飛行機の目的地だった徳島県の方角を向き、空の安全を願う意味を込めて右手が空に伸びている。像のそばには、麻畠さんが徳島県の孤児から慕われていたことを記したり、吉永小百合さんの詩を刻んだりした石碑がある。
 この日、参列者は像の前で手を合わせ、安全を願った。脱線事故で娘を亡くした藤崎光子さん(82)=大阪市城東区=は「空も陸も安全は大事。どちらの事故も同じように風化させてはいけない」。同会の榊原薫さん(74)は「事故の事が忘れ去られないよう今後も続けたい」と話した。(斎藤 誉)

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