ここは異世界? 尼崎にいつ、なぜ閉鎖されたか分からない静寂の市場

2022/06/10 05:30

全てのシャッターが閉まり、異様な雰囲気を出す西大島市場=尼崎市大庄北4

 兵庫県尼崎市の国道2号を車で走っていると、異様な建物に目が留まった。さびたトタン板の壁に「公認 西大島市場」の文字。一歩足を踏み入れると、うるさかった車の音がすうっと消え、アニメ映画「千と千尋の神隠し」さながら、異世界に来たような感じがした。 関連ニュース 異世界の入り口か 1泊1100円の宿泊所 扉の結束バンド切って入室すると… 豊洲へ市場が移転して3年…東京・築地のいま 飲食店支援のために生まれた「築地KATTE鍋」 隠れ家すぎると話題、京懐石料理店の朝食をコース仕立てでいただく 京都・錦市場

 約120メートルの通路の両脇に精肉店、鮮魚店、薬局が並ぶ市場…だった場所。市によると、開設は1954(昭和29)年。35店舗が軒を連ね、多くの客が訪れた。ただいつ、なぜ閉鎖されたかを記した資料は見つからず、一部の看板が薄明かりを放つ状況が長く続く。
 吸い込まれるように進む。店主の大声が響き、主婦らがあちこちで立ち話。当時のにぎわいを想像した。ふと、引き返して写真を撮ろう、と振り返った。神隠しには遭っていなかった。(村上貴浩)

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