芦屋川のホタル再び 豪雨被害で激減…4年の歳月経て再生の兆し

2022/06/19 05:30

芦屋川の近くで小さな光を放ちながら舞うホタル=芦屋市山芦屋町

 兵庫県芦屋市の芦屋川でホタルが復活しつつある。もともと鎌倉時代の新古今和歌集で詠まれたほどの名所だったが、2018年の台風21号で激減。それから4年の時を経て、再び優雅な明かりをともし始めた。(村上貴浩) 関連ニュース 雨上がりの自然美 雨の置き土産に映し出された“逆さ神戸” 田植え待つ棚田に浮かぶ「逆さ」氷ノ山  残雪の兵庫最高峰がくっきり まるで雲の上のよう 水田の巨大鏡に鮮やかな初夏の空


 いさり火の 昔の光ほの見えて あしやのさとにとぶ蛍(ホタル)かな

 阪急電鉄芦屋川駅の北約500メートルにある山芦屋公園。公園奥の細道から川をのぞき込むと、黄緑色のぼんやりとした光が舞っていた。「本当にいたよ!」「きれいだね」。親子連れの声が上がる。芦屋のような都会でホタルが見られることは今や珍しいという。
 六甲山から流れる芦屋川は、上流に行くほどホタルが生息しやすい茂みが豊かに残る。ゆかりの歌人在原業平の魂がホタルの光になったとの言い伝えもあり、群れ飛ぶ様子は「ホタル合戦」と呼ばれてきた。
 1970年代の高度成長期には河川の汚染で姿を消したが、自然保護団体の活動が盛り上がって復活を遂げた。ところが2018年の台風21号で急激に増水すると、ホタルそのものに加え、餌のカワニナも流され、ほとんど姿を見なくなった。市内の約300軒に浸水被害も出た。
 その後の4年間、市や市民は特に手を加えることなく、見守ってきたという。
 「一時は心配したが、今では100匹ほど飛んでいる」と市内の自然保護団体「芦屋川に魚を増やそう会」の山田勝己さん(82)。「明るすぎる街灯を替えるなど、市もホタルのために良い環境を整えてほしい」と話した。

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