「詐欺?」「大丈夫!」押し問答に終止符打った「警告」とは? コンビニが受け取ったグッズに記載

2022/07/27 05:30

署長感謝状を受け取った豊増里三さん(右)=尼崎東署

 高額な電子マネーを買おうとした高齢男性を説得して特殊詐欺被害を未然に防いだとして、兵庫県警尼崎東署は「セブン-イレブン尼崎食満7丁目店」の豊増里三店長(56)に署長感謝状を贈った。「孫にあげるから」と聞く耳を持たなかった男性を気付かせた一手は、警察の啓発グッズだった。(浮田志保) 関連ニュース 「止めなあかん」心臓の持病忘れ、追いかけたコンビニ店員 「犯人」とも電話でやり取り、詐欺防ぐ 不安そうな客を前にあうんの呼吸 コンビニ店員の仲良し母娘、3年で2度の詐欺被害ストップ グウグル、れじ…手書きメモでピン 若手店員は「例えば」と、丁寧な説明で詐欺被害防ぐ


 6月30日午前10時ごろ、60代の男性がレジに現れた。「孫にあげるので電子マネー14万円分を買いたい」。従業員に呼ばれた豊増さんは男性の目を見て、何か焦っているように感じた。
 「それは詐欺ではないですか?」と聞くと、男性は「大丈夫」と繰り返す。同じような問答を10回ほど続けた時、尼崎東署からもらった封筒に気づいた。
 その表面には大きな字でこう記している。

 「『コンビニで○○カードを買って番号教えて』は全て詐欺!!」

 店では普段から電子マネーの購入客にも注意を促すために渡すようにしていた。これを見せつつ「本当に大丈夫ですか?」と問い掛けると、男性は目が覚めたように冷静になっていった。明らかに詐欺だと確信してこう言った。「あなたには売ることができません」。ついに、近くの交番に行くように説得することができた。
 男性はパソコン使用時に突然「ウイルスに感染した」との画面が表れて驚き、示された連絡先に電話をすると、感染除去のために電子マネーを買うよう何者かに指示されていた。購入手順として念入りに「子どもにあげるためだと伝えるように」と告げられていた。
 同店では市内での詐欺多発を受け、「被害に遭いそうな客に対して従業員はどう声掛けをすればいいか」を尼崎東署に相談しており、6月下旬に啓発用の封筒や警告シートを受け取ったばかりだった。
 「従業員と危機感を共有し、警察と連携できていたのがよかった」と豊増さん。被害防止に貢献できたのは2回目といい「これからも注意していきたい」と気を引き締めた。

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