完全無臭の商品、ないなら作ろうと起業家に 県立国際高3年生「ハードルはとても低い」
2022/08/18 05:30
起業家教育について開設する石井夏生さん=県立国際高校
「今の時代、起業のハードルって全然高くないんです」。そう力を込めるのは兵庫県立国際高校(芦屋市新浜町)3年生の起業家石井夏生さん(18)。高校1年で起業し、現在は受験勉強と両立しながら「起業家教育」を普及させる活動にも力を入れている。4日には同校で講演会を開き、教諭らに起業について語った。(村上貴浩)
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「起業家教育はリーダーシップやコミュニケーション力などの『21世紀型スキル』が身に付きます」。約20人の前で、起業家教育の実例や有意義さを熱弁し、高校教諭たちが真剣に聞き入った。
同県川西市出身の石井さん。小学生の時、体育で使う赤白帽を友人に貸し、洗濯されて返ってきた帽子のにおいに驚がくした。「何十回洗濯しても柔軟剤のにおいが落ちなかったんです」と振り返り、自身が香水や洗剤の人工的なにおいが苦手だということに気付いたという。
中学生になり、完全無臭の商品を探したが、見つからなかったため、「自分で作っちゃえ」とすぐに決意したという。
高校に進学し、資金調達の前段階として認知度向上を目指し、写真共有アプリ「インスタグラム」のアカウントを開設。得意のイラストを投稿していたところに1通のメッセージが届いた。「娘の卒業祝いに似顔絵を描いてくれませんか。もちろんお金は支払います」。高校生で稼ぐことはダメ、という固定概念がなくなった瞬間だった。
似顔絵販売のサービスを始め、2年生でアクセサリーを販売するアパレルブランドを設立。現役の雑誌モデルに自ら連絡を取って商品の宣伝を依頼するなど、行動力を武器にしてきた。
現在、3年生になり「起業家教育を普及させたい」という思いが強くなった。起業をする、しないにかかわらず、事業計画をたてたり、アイデアを練るために周りとコミュニケーションを取ったりと、重要なスキルを学ぶことができると実感している。
講演会では、起業家を外部講師として招くことなどを提案。「起業って怖いイメージがある」という教諭からの質問には「確かに私も怖かったんですが、今はSNS(交流サイト)などのツールが発達していて、0円で起業できる時代。意外にハードルはとても低いんです」と断言。拍手が湧いた。
最終的な目標は、完全無臭の商品を開発し、においに敏感な妊婦や、人一倍繊細な気質を持つHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の人、そして自分と同じようににおいで苦しんでいる人の手助けをすること。同時に起業家教育の普及も進めたいといい「若者が行動力を身に付ければ、社会がもっとワクワクすると思うんです」と笑顔を見せた。