車いす利用者らの心の負担軽減を 「本棚届かない」気軽に頼めるシステム導入 関学大が全国初
2022/08/27 05:30
専用端末でQRコードを読み取り、介助支援を依頼する車いす利用者=関西学院大学西宮上ケ原キャンパス図書館
関西学院大学(兵庫県西宮市上ケ原一番町)は、車いすを利用する身体障害者らが大学図書館で気軽に本を借りられるようにするための介助支援システムを導入した。書架の高い所にある本に手が届かない場合、図書館内に掲示されたQRコードを専用端末で取り込むと、職員が駆け付けてサポートする。車いす利用者の支援システム導入は全国の大学図書館で初めてという。(西尾和高)
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上ケ原キャンパスの図書館は開架式で、約150万冊の蔵書がある。車いす利用者は書架の上部にある本を取るのが難しく、これまでは図書館職員らに支援を求めていたが「声をかけづらい」という心理的負担があるという。
現在、障害のある学生を支える学内の総合支援センターには学生2人が申請しているが、障害者は他にもいるとみられ、より本を借りやすい環境づくりを目指そうと、今年8月から支援システムを導入することにした。
システムは大阪の総合建設コンサルタント会社が開発した「アンサーユー」。専用端末は縦9センチ、横4センチの大きさで、車いす利用者が入館する際に無料で貸し出す。館内24カ所にQRコードを掲示しており、端末をかざすと、画面に「スタッフを呼び出しました」などと表示される。この通知を受け、館内の受付カウンターのパソコン画面に介助の依頼と居場所が示されるという仕組みだ。
このシステムを導入することで簡単な操作で声をかけずに気軽に介助を頼むことができ、介助者がそばにいない時にも職員を探す必要がなくなるという利点がある。関学大は今後、西宮聖和、神戸三田の両キャンパスでも導入を検討する。
大学図書館をよく利用するという商学部1年の男子学生(20)は「本を読むために一回一回、介助支援を求めるのは申し訳ないという思いがあったが、新たなシステムの導入でこれまでより頼みやすくなった。職員がすぐに駆け付け、本を取ってくれるので助かる」と話した。