<ひと探訪>発達障害児に瞳が輝くほどの出会いを 柳谷智子さん
2022/09/05 05:30
柳谷智子さん
■訪問療育のマッチングサイト運営
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発達に支援がいる子どもと、療育の専門家をつなげるマッチングサイト「meete(みーて)」を運営している。9月で開設2年。その子に合った療育を自宅で受けられる仕組みが、画期的なサービスとして注目を集める。
サイト名は、子どもたちが「見て見て!」と瞳を輝かせて気持ちを表現する言葉と、出会いを意味する「ミート」を掛け合わせた造語だ。
兵庫県西宮市で生まれ、伊丹市や大分市で育った。京都の短大で美術を学び、卒業後は事務職に就いた。
福祉の仕事とは縁がなかったが、2013年に転勤族の夫と仙台市へ移住したのが転機になった。福祉先進地を掲げる地。東日本大震災を受け、より機運は高まっていた。「絵なら教えられる」と発達支援の施設で働き始めた。
色の種類も絵の具の使い方も知らなかった子が、半年後には色彩豊かな絵を見せてくれた。脳性まひで目に障害のある子は「色がはっきり分からないけど、感じることができるよ」と胸を張った。「子どもの感受性に障害なんてない。これが私の天職」と実感したという。
次に住んだ名古屋市でも放課後等デイサービスに勤め、精神保健福祉士と保育士の資格も取った。
トラブルを起こした子の背景を探ると、親が心の余裕を失っていた。自身の身内にも発達障害があり、集団行動は苦手だが、自宅で教わるオルガンが大好きだった。「孤立する親を支えたい」「子どもが安心できる場で個性を伸ばしたい」。そんな思いが重なり、訪問療育のマッチングサイトという構想を膨らませた。
絵画に音楽、運動…。サイトには幅広い分野の支援者「サポーター」が紹介されている。「笑顔と言葉が増えた」「能力を生かせる」という利用者、サポーター双方の声が励みだ。43歳。(山岸洋介)
【メモ】利用者はサイト登録後、希望する条件のサポーターを検索し、メールで直接やりとりして契約する。登録無料。サポーターの基本料は1時間2千円ほどが中心。現在は子ども約770人が登録し、サポーター約70人が活動している。