<ひと探訪>宝塚歌劇のような見せ場を 橋本正人さん

2022/10/04 05:30

橋本正人さん

■男性歌劇団 「ミュージカル・バディーズ」代表 関連ニュース 目指すは憧れのタカラヅカ、たった2人も志高く 男性ファンの歌劇団、いざ初舞台へ 対極の世界観「宝塚バージョン」として成立 宙組公演「HiGH&LOW」が開幕 EXILEのHIROも絶賛 人気シリーズ「ハイロー」、宝塚とのコラボが実現 宙組公演

 「悲しいじゃありませんか。ここで多くの人が戦い、多くの人が死んでいった…。あの人が生きていたら今ごろ、何を考え、何をしていたでしょうか」。9月、兵庫県宝塚市で催した旗揚げ公演。あでやかな声色で鎌倉幕府軍と戦った武将楠木正成の妻久子を情熱的に演じた。
 「男性だけの歌劇団があっていい」。宝塚歌劇のファンで「ヅカ男子」を自負し、2019年、知人と2人で歌劇団を結成した。新型コロナウイルス禍で初公演を延期していたが、ようやく開催できた。ミュージカルの脚本やダンスなどはすべて手作りで、正成の生涯をたどる壮大な歴史物語を披露した。「宝塚歌劇の好きなところを集めた」。男役トップスターのようにスポットライトを浴びながら歌ったり、デュエットダンスをしたり、見せ場をたくさんつくって観客を魅了した。
 全国紙の新聞記者だった30年前、初めて宝塚歌劇を鑑賞し感銘を受けた。ナポレオンや織田信長ら歴史上の人物の生きざまをダイナミックに表現するタカラジェンヌの演技に「女性が演じる男役は男性が見てもほれぼれする」。以来、定期的に宝塚大劇場へ足を運ぶようになった。「ミュージカル作品を作ってみたい」。いつの頃からか、そんな思いを抱くようになり、15年に退職。インターネットで全国のミュージカル情報などを提供する会社を運営しながら、本格的に歌劇と向き合うようになった。
 11月、正成の生誕地とされる大阪府千早赤阪村で上演する。正成は地元の英雄として住民に愛されていることから「中途半端な気持ちで舞台に上がれない」と気を引き締めながらも「観客の反応が楽しみ。わくわくする」と声を弾ませる。今後、メンバーを増やし、にぎやかに活動していくことが目標という。「心に染みる作品を考え、華やかな舞台演出を目指す」。60歳。(西尾和高)

【メモ】予定する公演は8~10日の午後2時と同5時、大阪市・マドリガル▽11月12~13日の午後5時15分、神奈川県鎌倉市・きらら鎌倉▽同26日午後4時、同7時、大阪府千早赤阪村・くすのきホール。無料。橋本代表TEL0797・82・3323

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