「居間のような身近な存在に」 建築家・隈研吾さん、自身が手掛けた伊丹市役所新庁舎を語る

2022/11/14 11:45

28日に開庁する新庁舎。大通り沿いのクスノキがシンボルツリーとして植わってる=伊丹市千僧1

 28日に開庁する兵庫県伊丹市役所新庁舎の設計を手がけた建築家・隈研吾さんの講演会が、市立伊丹ミュージアム(同市宮ノ前2)で開かれた。国内外で携わった公共建築を紹介しながら、伊丹新庁舎に取り入れた機能やこだわりを説明。参加者からの質問にユーモアを交えて応じた隈さんは「市役所を『居間』のような身近な存在として使ってもらいたい」と語った。 関連ニュース 建て替えに伐採したクスノキ、新庁舎の新たなシンボルに 伊丹市役所、ゆかりの彫刻家ら椅子やアート作品に ファミマの「無人決済コンビニ」公共施設に全国初の出店 兵庫・伊丹市役所内、11月28日オープン 【写真】市役所北側の緑地広場に林立していたクスノキ


 隈さんは東京五輪のメイン会場となった国立競技場を設計するなど、国内外で活躍。2025年の大阪万博ではパビリオンの建築デザインも担う。
 伊丹新庁舎はコンペを経て「隈研吾建築都市設計事務所」(東京)がデザインを担当し、28日に業務が始まる。現庁舎の解体跡地には交流広場などが整備され、24年度に正式オープンする見通し。
 講演の前半では、伊丹新庁舎のパース図を示しながら外観や庁舎内、議会棟の見どころを紹介。隈さんは「自然と都市、伝統との調和が取れた伊丹のまちに似合うような、明るい未来を印象づける設計にした」と説明した。建て替えに合わせて、国道側に1本だけ残されたクスノキのシンボルツリーについては「新庁舎とうまく溶け合っていて、木がいっそう映える」と目を細めた。
 後半では、参加者が寄せた質問カードに対して、隈さんが応答。現代の公共建築のあり方には「昔は『ハコモノ』という言葉があったように、立派な施設こそ存在感があったように思うが、今は市民にとって使い心地の良い空間や場所が求められている」とした。
 建築業界で求められているものは-と問われると「コストとの闘い」と笑いを誘いつつ「みなさんが楽しく利用することで、建物は活気づく。フロアの使い方やイベントなど、市民からどんどん提案して建物を進化させてほしい」と締めくくった。(久保田麻依子)

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