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 白血病などで苦しむ患者を救おうと、骨髄や末梢(まっしょう)血幹細胞の提供を希望して骨髄バンクにドナー(提供者)登録している人は現在約45万人。今では移植を待つ患者の9割以上に適合ドナーが見つかるようになった。だが、実際に移植に至るのはこのうちの6割程度にとどまる。原因の一つがドナー側の入院や通院の負担だ。「仕事を休むと収入が減ってしまう」と、提供を断念する人が少なくない。せっかく見つかったドナーを確実に移植に結びつけようと、ドナーに対する助成制度を導入する自治体が増えてきた。

 「3泊4日の入院は厳しいね」「ぎりぎりの給料で生活しているので会社を休めません」「休業補償はありますか?」

▼さきがけ

 ドナー増加を目指して全国各地で開かれる登録会。新潟県加茂市に住む高野由美子さん(50)と夫の豊さん(54)は、会場で説明員のボランティアをするたびに、そんな声をよく耳にした。

 夫妻は2005年、当時18歳の息子を白血病で失った。亡き息子にずっと関わっていたいと、08年からNPO法人に参加し、患者家族の立場からバンク事業の普及啓発に取り組んでいた。

 「自治体の助成があれば、ドナー登録や実際の提供を増やせるのではないか」。そう考えた2人は、県内市町村への要望活動を始めた。真っ先に応えてくれたのが地元の加茂市だった。約1年半にわたって交渉を続け、11年4月、提供したドナー本人に1日当たり2万円、7日間を限度に給付する全国で初めての助成制度が実現した。

▼事業所にも給付

 日本骨髄バンクの大久保英彦広報渉外部長によると、骨髄や末梢血幹細胞を提供する際は、事前と事後の健康診断、骨髄や幹細胞の採取、採取に向けた処置などで7~10日程度の通院や入院が必要になる。

 最近はドナー休暇やボランティア休暇の制度を整え、従業員の骨髄や末梢血幹細胞の提供を積極的に後押しする企業や団体も増えてきたが、その数はまだ限られている。「ドナー休暇などの制度がなければ、有給休暇を利用するしかないのが実情」と大久保さん。派遣やパート、アルバイトで働く人には、より高いハードルが立ちはだかる。

 そこで注目されるのが自治体の助成だ。加茂市に続き12年4月に島根県の浜田市と益田市が導入、さらに同様の動きは広がり、これまでに全国44市町が制度を創設した。関西では大阪府富田林市と奈良県橿原市が導入するが、兵庫県内にはまだない。

 助成内容は加茂市と類似したものが多いが、中にはドナーが勤務する事業所にも1日1万円を給付したり、市内で使える商品券10万円分を支給したりするケースもある。

▼県が半額負担

 加茂市健康課の担当者は「加茂市民の利用はまだないが、こうした制度が全国に広がることは喜ばしい。ただ、将来は市町村ではなく、国レベルの制度になるのが望ましいと思う」と話す。

 都道府県別で最多の13市町が既に導入している埼玉県では、県の果たした役割が大きい。県内市町村がドナー本人に助成した場合に県がその半額を負担する制度を本年度からスタートさせ、職員が市町村に足を運んで協力を働きかけてきた。

 県疾病対策課の根岸佐智子主幹は「今年1月、移植拡大に向けて自治体の責務にも言及した造血幹細胞移植推進法が施行されたことも追い風になった。県内全63市町村での導入を目標に、今後も協力をお願いしていきたい」と意気込む。

 大久保さんは「全国の市町村数を考えればまだ一握り。導入自治体がゼロの空白県も多い。より多くのドナーが恩恵を受けられるよう、導入の動きがもっと広がってほしい」と話している。

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