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国立がん研究センター中央病院の相談支援センター受付に置かれた、家族ケア外来のパンフレット=東京・築地
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国立がん研究センター中央病院の相談支援センター受付に置かれた、家族ケア外来のパンフレット=東京・築地

 がんになると、患者本人だけでなく支える家族も大きな衝撃を受け、つらい思いを抱える。中には精神科医らによる専門的な心のケアが必要になる場合もあり「家族は第二の患者」と呼ばれるほど。だが多くの場合、家族は「大変なのは患者本人だから」と気持ちを抑え込み、問題は見過ごされがちだ。そんな現状を変えようと、家族向けに心のケアの窓口を開設する医療機関もある。

▼早く知りたかった

 東京に住む真由美さん(47)=仮名=は6年前、2歳上の夫を1年余りの闘病の末に亡くした。病名は骨髄異形成症候群。血液のがんの一種だ。

 回復の望みを託して厳しい治療を受け、免疫が低下した夫に風邪をうつしてはいけないと、面会以外の外出はほとんどしなくなった真由美さん。夫に何を話せばいいか分からなくなり、体も心も弱っていった。しかし周囲から言われたのは「あなたがしっかりしなければ」。眠れず食欲もなくなり、思うように看病にも通えないまま夫を見送らざるを得なかった。一人ぼうぜんと過ごす日が続いた。

 ようやく少し落ち着いたのは夫の死後、信頼できる心療内科医とゆっくり話すことができてからだ。その後、がん患者の遺族の心のケアに先駆的に取り組んでいた埼玉医大国際医療センターの大西秀樹教授(精神腫瘍学)に「本当に大変な思いをされましたね。どうか自分を責めないで」と言われ、救われた。不眠などの症状はうつ病が原因と聞き納得がいった。具合が悪い時に必要だった薬はもう飲んでいない。

 夫に十分なことができなかった罪悪感が今も消えないという真由美さんは「心のケアを受けていいんだともっと早く知っていれば。患者のためにも家族の健康は大切だという理解が広まってほしい」と話す。

▼「申し訳ない」

 2012年に始まった現行の国のがん対策推進基本計画は「すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減」を目標に掲げ、家族への支援も重要な項目だ。しかし、家族の心のケアは緒に就いたばかりとみる専門家が多い。

 大西さんは埼玉医大に着任した07年より前から、がん患者に加え家族、遺族の心のケアも継続して手掛けてきた。診療は健康保険の適用になる。

 埼玉医大の家族と遺族の受診は年間各20人前後で、それぞれ全体の1割に満たない。だが海外の研究によれば、家族に不安や抑うつなどの症状が出る頻度は最大50%程度とされ、抑うつの程度は患者より家族の方が重いとの報告もある。なぜ受診に結びつかないのか。

 大西さんによると、家族は「がんではない健康な自分が不調を訴えては申し訳ない」と考えがちで、がんの治療を第一に考える医療者も、そんな家族の思いに気付きにくいという。大西さんは「受診が早いほど結果もいい。心の状態に少し注意を向けてみて」と話す。

▼ニーズはもっと

 国立がん研究センター中央病院(東京)は12年4月に「家族ケア外来」を開設した。こちらは1回当たり40分でカウンセリング料1万800円を支払う自由診療だ。

 「保険診療だけで対応しようとすると十分時間が取れない場合もある。あなたのために必ず40分確保しますと約束するには自由診療が適すると考えた」と精神腫瘍科の加藤雅志医師。薬など継続的治療が必要なときは保険診療に切り替えることもあるが、1回の受診で気持ちの整理がつくケースが約半数あるという。

 これまでの受診者は20人を超えたが「ニーズはもっとあるはず」とみる加藤さんは「どこに行けばいいか分からないご家族がかなりいるのではないか。啓発に力を入れたい」と話す。

 一方、がん患者の在宅療養を支援する姫路市白銀町、だいとうクリニックでは、毎月第3土曜の午後1時半から、最愛の人を亡くした遺族の集い「ひまわりの会」を開催。同じ体験をした人たちとつらい胸のうちを語り合うことで、自分が独りぼっちでないことに気付くという。茶菓子代200円。同クリニックTEL079・222・6789

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