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 認知症の中では、ほんのわずかな割合にすぎないと思われていた「レビー小体型認知症」が、全体の2割前後もいることが専門医の調査で分かってきた。アルツハイマー型認知症などと異なるのは、幻視が多く、外見の動きではパーキンソン病に似ている点が特徴だ。

 この認知症を世界に先駆けて発見、報告した横浜市立大医学部の小阪憲司名誉教授は「レビー小体型認知症は、記憶障害が起こる前に幻視や起立障害などが見られることが多い。この時点で周囲が気付き、早期診断の上で、適切な治療を始めることが大事」と話す。

 これまで認知症は、アルツハイマー型が約70%、血管性が約20%、レビー小体型は4%強とされてきたが、実際に認知症の高齢者を解剖して原因を調べた結果では、レビー小体型は20%前後、あるいはもっと多いことが分かってきたという。

 アルツハイマー型認知症は、脳に老人斑と呼ばれるアミロイドβ(ベータ)タンパク質が沈着することが原因と考えられている。

 一方、レビー小体型認知症は、脳細胞の中にレビー小体と呼ばれる円形の構造体がたまることが原因とみられている。

 「レビー小体が脳幹にたまると、歩行障害や震えなど運動機能に障害が起こるパーキンソン病に、大脳皮質に多くたまるとレビー小体型認知症になるとみられ、二つの病気は兄弟関係にある」

▼誤診

 レビー小体型認知症の症状について、関東中央病院(東京)神経内科の織茂智之(おりもさとし)部長は「幻視は具体的で、目の前の小さなごみが虫に見えたり、ハンガーに掛かっている洋服が人に見えたりする。こういう場合、まずこの認知症を疑った方がいい」と指摘する。

 幻視やパーキンソン病に似た動きのほか、自律神経症状も多く、起立性の目まい、排尿障害や便秘、発汗過多も見られる。また睡眠時の行動異常も特徴の一つという。

 小阪名誉教授は「この認知症を知らない医師がまだ多く、パーキンソン病と誤診した上、幻視が出ると、治療薬の副作用と思ってしまうこともある。また幻視の症状から、精神疾患と誤診されることもあるので注意が必要だ」と話す。

▼残像

 これまで、この認知症に対する治療薬はなかったが、このほどアルツハイマー型認知症治療薬のドネペジル(商品名アリセプト)がレビー小体型認知症の治療薬として追加承認されたところだ。

 ただ現在の認知症治療薬は、いずれも病気の進行を遅らせる目的であることに変わりはない。

 レビー小体型認知症を発症し、約4年間の闘病の後、今春65歳で亡くなった夫の介護を続けてきた金子節子さん(東京在住)は「夫のケースでは、トーストのパンくずが虫に見えて、つぶすとワインレッドの色になると言ったり、布団のしわを『ヘビ』だと言ったり。1回見た物が残像となって、幻視として見えてくるようだ」と振り返る。

 「幻視による不安な状況を切り替えるために、夫と一緒に幻視を“退治”するおまじないも考えだした。こういう認知症があることを少しでも多くの人に知ってもらいたい」と話している。

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