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日本放射線腫瘍学会が作成した「患者さんと家族のための放射線治療Q&A」
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日本放射線腫瘍学会が作成した「患者さんと家族のための放射線治療Q&A」
唐澤久美子教授
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唐澤久美子教授

 がんを切らずに治す放射線治療。日本でも放射線の利用は増えているが、欧米と比べるとまだ半分。そこで日本放射線腫瘍学会は放射線治療の普及を目指し、同学会として初めて患者・家族向けに「患者さんと家族のための放射線治療Q&A」(金原出版、2376円)を昨年秋に出版した。

 編集責任者の東京女子医大の唐澤久美子教授(放射線腫瘍学講座)に出版経緯や放射線治療の現状などについて聞いた。

 「今、日本は毎年約100万人ががんになり、うち約24%の人が放射線治療を受けていると推定される。東京では40%と高く、県によっては十数%のところもある。米国ではがん患者の65%が放射線治療を受けている」

 同学会ホームページにあるQ&Aコーナーが非常に好評で質問を追加して本を作ったという。

 「放射線に対する心配や疑問に答えるため、学会内から執筆者を募り、2年間かけて本を作った。放射線治療の基本的原理から、治療の進め方や装置、治療中や治療後の生活上の注意点など幅広い分野を分かりやすく解説している」

 放射線治療は1950年代から急速に進歩。日本は30年遅れたという。

 「理由は、まず被爆国ということで放射線に対する拒否的感情がある。また手術に適したがんが多く、外科に重点を置いた治療が続いたこと。三つ目は、放射線治療の専門家が少ないためだが、これは放射線治療数が少ないからかもしれない」

 がん治療は手術、薬物療法(抗がん剤)、放射線が三つの柱とされる。

 「放射線治療は通常、薬物療法や手術、あるいは両方との組み合わせで行うが、前立腺がんや子宮頸(しきゅうけい)がんなどでは単独の治療も行う。例えば子宮頸がんは世界でも放射線治療が第一選択。がんによっては、海外では放射線治療が常識なのに、日本では手術が行われることがよくある」

 今は放射線治療の4分の1は乳がん、約1割が前立腺がん、肺がんにそれぞれ使われている。陽子線や重粒子線の治療も行われるようになった。

 「放射線治療は臓器の機能や形態が温存でき、体への負担が少ないのが長所。がん細胞は放射線に弱く、放射線で根治できるがんもある。利用できるのに使わないと損をしていることにもなる」

 放射線を照射する装置も日々進歩している。

 「現在の装置はさまざまな角度から精密な照射が可能になっている。場所によっては、ピンポイント照射も可能だが、がんは周囲に散らばっているので、周りも含め照射するのが普通。そばの正常組織に悪影響が出ない範囲で治療する。骨転移など、痛みを取るために照射する場合もある」

 放射線の場合、副作用は照射した部位にだけ出るのが特徴という。

 「照射範囲や線量によって違うが、放射線に弱い皮膚や消化管、骨髄に起きやすい。それぞれ紅斑や下痢、白血球減少が起こりやすい」

 放射線に弱いのは細胞増殖が速い部位という。

 唐澤教授は「放射線は高齢者にとっては体にやさしい治療ができる。この本で、皆さんに放射線のことをよく知ってもらい、もっと利用を増やしたい」と話している。

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