「日本一の富豪村」住吉エリア 「近代史・豪邸コース」を歩く 道端から見上げ「大きいなあ」
2022/05/27 10:15
「乾汽船」設立者の自宅だった旧乾邸(奧)を見学するウオークイベントの参加者たち=東灘区住吉山手5
神戸市東灘区の旧住吉村一帯では、明治から昭和初期に建てられた邸宅群が目を引く。西の高級住宅地を代表する芦屋市の「六麓荘」と比べても桁違いだったとされる。豪邸を巡るウオーキングイベントに参加し、住吉が「日本一の富豪村」と称された往時の華やかさに思いをはせながら散策した。
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イベントは「東灘ボランティアガイドの会」が、無料で配っている「東灘まち歩きマップ」(8コース)に新たに二つのモデルコースを追加したのを記念して企画した。4月上旬の週末、地元住民ら約60人が新しいモデルコースの一つ「近代史・豪邸コース」を歩いた。
晴天の下、マップを監修した「神戸深江生活文化史料館」の道谷卓副館長の案内で住吉山手、御影山手周辺を巡った。参加者らは、乾汽船の創業者や武田薬品工業6代目会長など、日本経済をけん引した名士たちの邸宅を道端から見上げては、「大きいなあ」とため息を漏らした。
現在のレストラン「蘇州園」(同区住吉山手4)も、もともと日本生命を創業した弘世助三郎の別邸で、弘世と柔道の父・嘉納治五郎(東灘区出身)に交流があったことも紹介された。東灘区魚崎西町2のパート木田美佐子さん(72)は「区内に住んでいても知らなかったことだらけ。建物に興味があって参加したけど、その背景とか歴史を聞くのも楽しくて、他のコースもまたじっくり歩いてみたい」と笑顔で話していた。
もう一方の新設コースは「嘉納治五郎ゆかりの地」をたどる経路。東灘まち歩きマップは東灘ボランティアガイドの会のホームページで公開しているほか、御影公会堂で無料配布している。御影公会堂TEL078・841・2281(井上太郎)