ウクライナ避難者に食糧支援 魚崎のNPO「ケアット」 20世帯が利用「イツモアリガト」
2022/07/19 17:06
コミュニティーカフェ「はじめのいっぽ」に並んだパンや野菜を選んで持ち帰るウクライナの人たち=神戸市東灘区魚崎北町4
ロシアの軍事侵攻を受けてウクライナから神戸へ避難してきた人たちの食料支援を、神戸市東灘区のNPO法人「ケアット」が行っている。軍事侵攻が長期化する中、これから日本語を覚えて仕事を探すなど異国での暮らしに不安を抱える人たちに寄り添っていきたいという。(井上太郎)
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■元子ども食堂
ケアットは児童の発達支援事業所や障がい者の就労支援施設、高齢者のデイザービスや在宅介護といった福祉事業を幅広く手掛けている。
同区魚崎北町4にコミュニティーカフェ「はじめのいっぽ」を構え、曜日ごとに認知症カフェや民間の「よろず相談窓口」などを運営。毎週金曜日は子ども食堂を開いていたが、新型コロナウイルス禍以降はひとり親世帯に食料を配る。
今年2月にロシアがウクライナに侵攻し、日本への避難民が増え始めた。4月15日からは従来のひとり親支援と並行して、ウクライナからの避難者も食料支援の対象にした。パンや野菜、カップ麺を並べ、買い物かご1個分を自由に選んで無料で持ち帰ってもらう。
趣旨に賛同してくれた生活協同組合コープこうべやカネテツデリカフーズ(いずれも東灘区)、個人などから寄せられたパンや練り物、缶ジュースを陳列。寄付金で購入した米や野菜、卵、牛乳も並べる。
■選べる楽しさ
金曜日の夕方になると、カフェには入れ替わり立ち替わり、ウクライナからの避難者たちがやって来る。食料品を手に取り、スーパーで買い物をするように品定めをして、かごに入れていく。時折、ケアットの職員に英語で食品の中身を尋ねる人や、「イツモアリガト。バイバイ」と、覚えたての日本語でお礼をして帰っていく人もいる。
おおむね20世帯が継続的に利用しているという。7月中旬に訪れたマラカ・オレナさん(43)は、ウクライナ西部のテルノーピリから4月に来日し、15歳の娘と2人で神戸市内のアパートに暮らす。
就職はこれからで、日本語を学んでいる最中といい、「生活に不可欠なものが手に入るのは本当に助かるし、感謝する。パンの種類もいろいろあって、選ぶのが楽しみ」と笑顔で話した。
■いつか母国で
ケアット代表の岡本芳江さん(58)によると、当初は食料品を袋に詰めた後、ウクライナ人同士が外で立ち話をして帰っていく光景が目立ったが、最近はあまり見なくなった。
岡本さんは「お互いにいつでも連絡を取れるようになり、それぞれ生活基盤や人間関係もでき始めてきたのでは」と推測し、「いつか母国に帰ったとき、困ったときに日本で、神戸で親切にしてもらった、と話してくれたなら」と願う。
「そういう小さな感情だって戦争をなくすこと、平和につながると信じたい」と岡本さん。はじめのいっぽの家賃や水道光熱費に役立てるため、寄付を募っている。はじめのいっぽTEL078・855・6959
→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)