生徒引き連れ被災地支援 教室飛び出す灘高教諭

2022/07/31 18:44

灘中・高校教諭の池田拓也さん=神戸市東灘区魚崎北町8

 高校生と社会をつなぎたい-。灘中学・高校(神戸市東灘区)教諭、池田拓也さん(46)は、阪神・淡路大震災の記憶が残る神戸でのフィールドワークや東日本大震災の被災地支援など、教室を飛び出し、生徒と一緒に地域活動やボランティアを続けてきた。  関連ニュース 「一緒に先生になろうね」亡き親友と14年前に誓った夢は目標になった 自分は被災者なのか-葛藤も胸に経験語る21歳教育大生 言葉の壁、外国人は災害弱者「誰もが困らない仕組み構築を」 通訳申し出たがたらい回し経験したボランティア 地方女子の問題を可視化、原発避難者の人権訴える 兵庫ゆかりの2人に「女性リーダー」賞

 大阪府大東市出身。神戸大学を卒業後、兵庫県の教員として採用された。社会経験は全くない。そんな自分が教壇に立つことに、当初は引け目を感じていた。
 考え方が変わるきっかけになったのは、三田祥雲館高校(三田市)に勤務していた2011年だった。東日本大震災が起き、関西学院大の教授から被災地支援に誘われた。生徒を引率し、宮城県気仙沼市へ。がれきの撤去を手伝った。
 被災者に頼られ、感謝された生徒たち。学校では見たことがない充実した表情に「教育の現場は授業に限らない」と実感した。
 17年に灘中・高の教諭になり、18年、福島県が主催する教育旅行プログラム「ふくしま学宿」に生徒と参加した。一部の進学校向けの企画だったが、より多くの生徒に経験してほしいと、19年には神戸・阪神間の高校生に呼びかけて「ふくしま学宿チームHYOGO」を立ち上げ、5校34人で福島県を訪れた。
 居住する芦屋市でも若者を後押しするため、高校生グループ「あしや部」を発足させた。戦争体験者と交流したり、JR芦屋駅南地区の再開発を取り上げた勉強会を開いたり。機会をつくり、高校生と地域との橋渡しをする。
 インターネットで多くの情報が簡単に手に入る時代になった。だからこそ「現場でしか見ることができない、知ることができない経験を生徒にさせたい」と。(竜門和諒)

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)

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