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ユトリロの軌跡をたどる作品が並ぶ会場=姫路市本町
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ユトリロの軌跡をたどる作品が並ぶ会場=姫路市本町

 フランスの画家モーリス・ユトリロ(1883~1955年)の作品を集め、兵庫県姫路市立美術館(同市本町)で開催中の「ユトリロ回顧展」(神戸新聞社など主催)が評判を呼んでいる。国内で人気の高い画家の県内初の展覧会であるとともに、国内初公開の作品も多い。展示はその波乱の生涯がたどれる構成となっており、「作品と時代」がより深く伝わってくる。

 パリで生まれ育ち、地元を離れることなく町並みを描き続けた。絵との出合いは、不遇な生い立ちに由来する。母シュザンヌ・ヴァラドンはモデルで画家。恋多き女性で父親も定かではない。母から厄介者扱いされ、愛情に恵まれずに育つ中で10代で酒におぼれ、アルコール依存症で傷害事件や入退院を繰り返した。

 10代後半、ヴァラドンが依存症の治療の一環で絵を描かせたところ、特別な教えを受けたこともないのに才能を発揮。画家の道に進む契機になったという。

 会場ではそうした流れをパネルで解説し、時代順に作品を展示している。

 題材は、成長の過程で染みついた人間不信からか、人ではなく、教会や寺院などの構造物ばかり。特に初期は、黒や茶、灰色など暗い色を厚塗りし、重たい印象の絵が大半を占める。

 中期になると、白を多く使うようになり、「白の時代」へ。後期は再び作風が一転、色彩が豊かになり、「色彩の時代」に入る。

 ユトリロが創作を続けた時代は、パリを拠点に多くの画家が活動した「エコール・ド・パリ」(パリ派)の全盛期と重なる。しかし、ユトリロはほかの画家と交流せず、一人黙々と絵筆を握ったという。

 不動美里・同美術館副館長は「道や壁が、実際よりも暗かったり、白かったりと『ユトリロにだけ見えた色』で表現されている。そんな孤独や切なさがにじむ作風が、ぴかぴかの大理石よりも、こけむした石を好むような日本人の感性に合ったのではないか」と話す。

 今回、82点が展示され、3分の1が国内初公開。ヴァラドンや、ユトリロの友人で、ヴァラドンの夫になったアンドレ・ユッテルが描いた絵画、パレットなどユトリロの遺品も並ぶ。

 7月2日まで。5月13日午後2時から、同館学芸員による解説会(先着100人)がある。一般1200円、高校・大学生600円、小中学生200円。午前10時~午後5時。月曜休館(5月1日以外)。同美術館TEL079・222・2288

(宮本万里子)

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