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金木犀舎が出版した「播磨おとなの塗り絵&思い出筆記」
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金木犀舎が出版した「播磨おとなの塗り絵&思い出筆記」
浦谷さおりさん
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浦谷さおりさん

 姫路城、灘のけんか祭り、相生ペーロン祭…。播磨で暮らしていれば、だれもが一度は足を運んだことのある風景や催しが、大人向けの塗り絵になった。兵庫県姫路市の出版社が出した「播磨おとなの塗り絵&思い出筆記」。思い出を呼び起こす質問が並び、古き良きイメージを膨らませながらペンを取れる工夫をした。同社は「認知症予防にも効果的。人生を振り返るきっかけにしてほしい」と話す。(金 旻革)

 昨年創業した「金木犀舎」(同市北条口1)の出版1作目にあたる。

 代表の浦谷さおりさん(44)が昨夏、介護事業所に勤める友人から「高齢者が気軽に楽しめる塗り絵が少ない」と聞き、企画した。

 使う側の役に立つよう工夫したいと考えた浦谷さんが着目したのが「回想法」だった。懐かしい思い出を語ることで、認知機能の改善が期待できるとされる心理療法だ。

 本では11の題材を紹介している。姫路市立水族館のウミガメや灘のけんか祭り、相生のペーロン祭りなどは塗りやすい切り絵にした。色を細かく塗れて難易度が高い線画のイラストでは、書写山円教寺や姫路モノレールの手柄山駅、播磨灘を一望できる赤穂市の赤穂御崎などを題材にし、塗り手の創意工夫が試せる。

 質問項目は塗り絵一つずつに用意した。

 姫路城の場合、「お花見にまつわるいちばん印象深い思い出を教えて」「その思い出に登場する人物は」と続く。塗り絵を進めるにつれ、より具体的な記憶を呼び起こせるように質問を構成し、「(姫路モノレールが開業した)昭和41年頃、どんな風に過ごしていたか」「タイムマシンで1日だけ昔に戻れるなら何歳の自分に戻りたいか」など、自然と脳トレができるよう工夫した。

 浦谷さんは「思い出を呼び起こすうち、思いがけない記憶も出てくるかもしれない。塗り絵を通じ、歩んだ人生の意味を見い出してもらえたら」と話す。

 A4判変型、24ページ。500円(税別)。同社のホームページ(http://www.kinmokuseibooks.com)や通販サイト・アマゾンで販売中。播磨地域の書店でも販売される予定。同社TEL079・280・5916

■地元に根ざす本全国に

 「人の興味を引きつける本を出せる人は姫路にもたくさんいるはず。その懸け橋になりたい」。約20年間、出版業界に携わってきた浦谷さおりさん(44)は昨年、地元姫路で出版社を立ち上げた。

 飾磨小、飾磨中部中を卒業後、姫路西高を経て神戸大に進学した。

 小学生のころから「絵本を作りたい」との夢を胸に秘めていた。高校3年間は絵画教室に通い、デッサンの技術を磨いた。国公立の美術大を志したが、団塊ジュニア世代で競争率が高く断念。美術の教員免許が取得できる神大に通うことにした。

 転機は阪神・淡路大震災だった。

 神戸市中央区の下宿先で被災したが、たまたま徹夜で絵を描いており、避難できた。周辺の家屋は倒壊し、多くの死者が出たのを知った。命のはかなさを痛感した。

 「一度きりの人生、やりたいことをやらないと」。大学3年で中退を決意し、大阪の雑誌社でフリーランスのイラストレーターとして働き始めた。約10年前から東京の出版社で本の編集をした。ある時、上司の出版社設立を手伝ったのを機に、自身も起業を考えるようになった。

 「出版不況が叫ばれているが、文字を読まない人はいない。切り口一つで読みたくなる本を生み出せる」と力を込める。

 「播磨、そして兵庫に根ざした本を作り全国に発信したい。埋もれた人材と出会いたい」

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