姫路

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多くの人々が集った、姫路城を望む空間で10年を振り返る長谷川香里さん=姫路市本町、納屋工房
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多くの人々が集った、姫路城を望む空間で10年を振り返る長谷川香里さん=姫路市本町、納屋工房

 音楽ライブやまちづくりの講座など多彩な活動に利用されてきた兵庫県姫路市本町のコミュニティースペース「納屋工房」が2月末で閉まる。デザイナーの長谷川香里さん(42)=太子町=が人々や情報をつなぐ場をつくろうと10年前に開設し、地元に同様の場所が広がる先駆けになった。2月17日に10年の歩みを振り返るパーティーが開かれる。

 ウェブや印刷物のデザインを手掛ける長谷川さんが2008年春、姫路城南の大手前第1ビル4階にオープンした。当初、自身の事務所にするつもりだったが「こんなに姫路城が美しく見える空間を一人占めするのはもったいない」と利用料を設け、コミュニティースペースとして活用することにした。

 開設時、一つの空間をシェア(共有)する考え方は社会に浸透しておらず、長谷川さんの知人の「お試し利用」からスタート。次第に、自身を含むフリーランスの人らの仕事場、俳句や書道の教室、ミュージシャンのライブ、勉強会、ワークショップ、芸術家らの作品展など多様な目的で使われるようになった。長谷川さんをつなぎ役に利用者同士の出会いも生まれた。

 中でも10年1月に始まった、播磨地域で活躍する人の取り組みに学ぶ連続セミナー「百人の哲学」は人気企画に。NPO法人理事長や企業経営者、大学教授、戦争の語り部、写真家、料理人など幅広い人々が登場した。同工房のオープン後、地元ではフリーの人らが集うコワーキングスペースなどが続々と誕生。人々がつながる場が根付いた。

 一方で、人口減少が進む中、近年は長谷川さんが人をつなぐノウハウを求められ、同工房の外へ出向く機会が増えた。「人の輪が広がる流れは地域にできた」と実感し、10年を区切りに閉めることを決めた。「最初はまず2年やってみようと手探りだった。場所はなくなるが、人や情報をつなぐ取り組みは続けたい」と意欲を燃やす。

 2月17日のパーティーは正午~午後5時。参加者が納屋工房と関わった思い出を書いて年表に貼るなどして10年を振り返る。有料でランチやカフェも楽しめる。出入り自由。同25日まで平日を中心に利用の申し込みも受け付け中。納屋工房TEL079・263・7878

(宮本万里子)

 【あなたにとってどんな場所? 利用者の声】

 主婦の塩本由紀子さん(50)は長年東京に住んでいたが、夫の転勤で関西へ。昨年5月、夫が育った姫路・野里の古い町家の改修を終え、神戸の社宅と姫路を行き来するように。姫路は「未知の街」だったが、町家の活用法を学びたいと同工房の「まちづくり喫茶」に参加。長谷川さんを通じて交流の輪が広がった。「町を歩くと『こんにちは』と言える人が増えた。納屋工房は自然に人とつながることできる場所」

 詩人で元加古川市職員の大西隆志さん(63)=姫路市=は自身の音楽グループのライブなどで同工房を活用した。「公的施設にはない、自由で人を引き寄せる空気があり、創造性をかき立てる空間だった。閉まるのは残念」と惜しむ。

 地元の観光を考える勉強会などを続けたNPO法人・姫路コンベンションサポート理事長の玉田恵美さん(48)は「模索を重ね、いろいろなものを生み出す面白い場所に育った」と意義を強調。「(同工房の)クローズは、長谷川さんが空間に立ち止まるのではなく動きだすイメージ」と今後の展開に期待を寄せた。

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