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本殿に安置されている木彫りの白馬と、見つかった木札を示す曲渕克昌さん=姫路市広嶺山
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本殿に安置されている木彫りの白馬と、見つかった木札を示す曲渕克昌さん=姫路市広嶺山
宇垣一成
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宇垣一成

 広峯神社(兵庫県姫路市広嶺山)の本殿に木彫りの白馬が安置されている。寄贈主は長らく不明だったが、戦前に陸軍大臣を務めた宇垣一成(うがきかずしげ、1868~1956年)が贈ったことを示す木札が見つかった。宇垣は、極東国際軍事裁判(東京裁判)で首席検事だったジョセフ・キーナンが「ファシズムに抵抗した」と評した人物。同神社は「軍人でありながら平和を模索した先人をしのぶきっかけにしたい」と今後、寄贈の経緯を調べる。(木村信行)

 木彫りの馬は高さ約1・3メートル、長さ約2・5メートル。全身に白い塗料が塗られ、実物大に近いとみられる。首を伸ばして餌を食べる様子が表現されており、穏やかな雰囲気を醸す。

 同神社には「戦前、乗馬のオリンピック選手が寄贈した」と伝わるが、真偽は不明だった。

 曲渕克昌権禰宜が1月、倉庫を片付けていたところ、絵馬や古い日誌など100点以上の収蔵品の中に「陸軍大臣 宇垣一成閣下 愛馬名ハ胡月」と墨書された木札を見つけた。

 戦前、地位の高い軍人は白馬に乗ることが多かった。宇垣は大正10(1921)年ごろ、姫路の陸軍第10師団の師団長をしており、同神社に木彫りの馬は一つしかないことから、「戦勝祈願で寄贈したのではないか」と曲渕さんは推測する。木札は寄贈者を記録するため神社側が作るという。

 宇垣は岡山県出身。首相候補として何度も名前が挙がったが、対英米協調派と目されて軍部に激しく抵抗され、日の目を見なかった。同神社とゆかりの深い戦国武将黒田官兵衛も天下取りの野心を抱きながら実現しておらず、「不思議な縁を感じる。宇垣が首相になっていたら戦争の泥沼化はまぬがれたとする歴史家もいる。平和を考えるきっかけにしたい」と曲渕さん。

 岡山市東区に残る宇垣の生家を守る親族の宇垣睦子さん(79)は「一成さんはいろいろな場所で住民と交流し、揮毫した書などを贈っていたらしい。姫路との縁が残されていたのならうれしい」と話す。

 同市中区の岡山県護国神社には宇垣の銅像がある。同神社の河野薫禰宜は「岡山の偉人の一人だが、神社の宝物遺品館に宇垣さんの関連資料は日誌しかない。神社への寄贈品は聞いたことがなく、極めて珍しいのでは」と話す。

   ◇   ◇   ◇

 ■宇垣一成 岡山県の農家の五男として生まれる。大正、昭和期に陸軍大臣、朝鮮総督などを歴任。第1次近衛内閣で外務大臣となり、日中戦争の早期解決を目指した。軍部の独走を抑えられるとして当時の元老、西園寺公望が首相擁立に動いたが、軍部に阻まれた。東京裁判を主導したジョセフ・キーナンは、若槻礼次郎、米内光政らと並んで宇垣を「ファシズムに抵抗した平和主義者」と評したとされる。戦後、参院議員に全国区から立候補し、51万票を集めてトップ当選。在職中に87歳で死去した。

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