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地域に根差した産婦人科医として働いてきた岩崎信吾さん=神河町粟賀町
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地域に根差した産婦人科医として働いてきた岩崎信吾さん=神河町粟賀町

 兵庫県神崎郡内唯一の産婦人科医だった神崎総合病院(神河町粟賀町)の岩崎信吾さん(65)が31日で定年退職し、分娩の取り扱いを終える。36年間、休日も夜中も陣痛に備えて「1時間以内には駆けつける」生活を続け、5500人の新生児を取り上げてきた。少子化で出産件数はピーク時の半分以下に減ったが、気力、体力の衰えを自身で感じ、区切りを付けることに。「ここまで無事にたくさんの命が生まれるのを手伝えた」と悔いなく第一線を退く。(井上太郎)

 市川町出身の岩崎さんは神戸大を卒業後、国立篠山病院(現・兵庫医科大学ささやま医療センター)などを経て1982年5月に神崎総合病院に赴任した。

 当時から産婦人科医は1人。分娩の対応は365日24時間、自分しかできない。自宅は姫路市内で病院までは車で30分強。「お産が最優先」と外出は最小限に控えてきた。「家族サービスは皆無だったのに理解し支えてくれた」と感謝する。

 92~94年は年間200人を超えた同病院の新生児も、近年は約100人にとどまる。10年ほど前からは、岩崎さんの赴任当初にここで生まれた女性が母親になるケースが増え、「命がつながっていることを実感でき、充実した」。一方で「備える時間が長くなるばかりでたまに『オン』に切り替える気力、体力がなかなか出なくなって」定年での区切りを決めた。

 「医者で唯一、明るい現場に立ち会える分野」という理由で志したこの道。母親と小さな命を守るために背負い続けた責任をそっと下ろす。

     ◇

 神崎総合病院の産婦人科には朝来市を含む近隣住民のほか、姫路や阪神間、県外からの里帰り出産を選んだ人たちが通う。岩崎さんは4月から嘱託で診察を続けるため「産婦人科」の看板は残るが、神崎郡3町には産科の開業医がいないため分娩は姫路聖マリア病院(姫路市仁豊野)などで対応する形になるという。神崎総合病院の藤原秀明事務長は「近隣の方にはご不便をおかけするが、医師の確保が難しくやむをえない」としている。(井上太郎)

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