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IT技術者として働きながら、田舎暮らしを満喫するペルーさん=姫路市安富町杤原
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IT技術者として働きながら、田舎暮らしを満喫するペルーさん=姫路市安富町杤原

 「世界的なIT企業に勤めるフランス人が近くに住んでいる」。そんな話を聞いたのは、兵庫県姫路市北部の安富町で取材中のことだった。世界遺産の姫路城周辺ならまだしも、お世辞にも便利とはいえない山あいの集落。耳を疑いつつ、地元住民に案内を頼むと、国境も時差も飛び越えて驚きの生活を送る「ペルーさん」がいた。(伊田雄馬)

 安富北地区連合自治会長の古井重次郎さん(70)いわく「東京から移住してきた、4カ国語を操るフランス人」「山を購入し、まきを割って生活している」。

 聞けば聞くほど興味が湧く。古井さんに連れられ、同町杤原の安富北小学校にほど近いログハウス風の民家を訪れた。

 「ペルーさーん」と来慣れた様子で門を入る古井さん。「はーい」という声とともにTシャツに短パン姿の大柄な男性が現れた。

 彼の名はペルー・フレデリックさん(47)。米国に本社を置く世界的なソフトウエア会社のIT技術者だ。

 フランスのボルドー出身。日本文化に興味を持ち、10代から独学した日本語を自在に操る。「ミシマ、カワバタ、タニザキ」。指を折りながら、教科書代わりにした文豪の名を挙げた。

 2003年ごろ、希望かなってフランスから東京に転勤。都心での暮らしは刺激的だったが「人と人との摩擦に疲れた」。パソコンひとつでできる仕事だったこともあり、日本人の妻と小学生の息子を連れて田舎への移住を検討し始めた。

 安富町を選んだ理由はいくつもある。新幹線の走るJR姫路駅まで1時間圏内で「関西国際空港がある大阪までも遠くない」。空気がおいしく、ホタルがすむ清流があり「気候も食べ物も違うが、故郷に似た雰囲気を感じた」

 日々の暮らしは多忙を極める。毎朝午前4時に起床。お昼ごろまで約6時間、米国の本社と電話やメールで会議などを行い、夕方までパソコンに向かう。一部購入した裏山から木を切り出してまきを割ったり、近所を自転車で散策したりするのが気晴らしだ。

 地域の祭り行事にも積極的に参加。「みんなと協力しながら文化を作っていくのがとても楽しい」とにこり。米国本社へ転勤の打診が来ても「ネコがいるから行けない」とジョーク混じりにかわす。

 ペルーさんは「この場所にはポテンシャル(潜在能力)がある」とも語る。進む人口減少、コンビニは5キロ先など条件的には恵まれていないが、裏を返せば「立派な家を安く手に入れられる」ということ。町の魅力を海外にPRしようと、フランス語のブログで日々の暮らしをつづっている。

 「人見知りはしないし、明るい性格で周りを和ませてくれる」と古井さん。取材を終え、年齢確認のために生年月日を尋ねると「46年4月-」。なんと、和暦で答えてくれた、根っから日本好きのペルーさんだった。

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