姫路

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「いい音楽が演奏できて聴ける。文化が息づく街であってほしい」と話す林裕美子さん=姫路市内
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「いい音楽が演奏できて聴ける。文化が息づく街であってほしい」と話す林裕美子さん=姫路市内

■手柄に「芸術劇場」を

 「姫路は住みやすくて文化を大切にする都市であってほしい」。姫路市出身・在住の声楽家でエリザベト音楽大学(広島市)教授の林裕美子さんの願いだ。JR姫路駅東側で2021年度に開館予定の市文化コンベンションセンターはその中核となる位置付けだが、課題も少なくない。林さんは西延末の現文化センターの跡地に新たな芸術劇場を建設したらどうかと提言する。(聞き手・加藤正文)

 -斬新な意見だ。

 「文化コンベンションセンターは実施設計が終わり、着工となった。この段階ではもう戻せない。今からいろいろ言っても仕方がない。それならば手柄地区にあって老朽化している今の文化センターを取り壊して、そこに本物の芸術劇場を造ればいい。予定されるJRの新駅からだと至近だ」

 -そもそも文化コンベンションセンターのどこに課題があると?

 「コンベンションの役割は見本市や展示場。これは音楽や演劇のホールとそもそも共存しない。また駅から700メートルのスロープで直結というが、山陽電鉄からだと1キロ近くになる。『駅前』を強調されるが、実際、遠い。スロープもギャラリーや緑の中を歩くのとは違って同じ目線にJRの高架が延々と続き、播但線をくぐってまた上る。私の母は最後は車いす生活だったが、そうした高齢者への配慮もできているだろうか」

 「気になるのが隣に大規模な県立病院ができること。コンサートホールの近くにドクターヘリが飛び交う環境も不安だし、交通混雑も懸念される。近年の再開発事業で駅前に都市機能を集中してきたが、集めすぎず分散する必要性もあるのではないか。手柄のJR新駅の計画もホールの説明会では話されなかった」

 -提案の芸術劇場はどんな位置付けになるのか。

 「音楽、演劇、邦楽の専用にして響きを重視する。席数は1800ぐらい。現在の文化センターのリハーサル室は素晴らしいのでこれは残す。この芸術劇場は遊園地や水族館、平和資料館、スポーツ施設がそろう手柄の文化ゾーンの看板になるはずだ。一方の文化コンベンションセンターは大規模な見本市とともにホールでは講演会や歌謡、演歌、ロックなど採算の取れる演目を中心にやればすみ分けできるのではないか」

 -市は「音楽のまち・ひめじ」を掲げるが、正直、実感がわかない。

 「県は西宮に県立芸術文化センターを13年前に整備した。あればあれで素晴らしいし、(成功したのは)阪神間という土地柄も大きい。一方で兵庫県の西の拠点が姫路なので姫路にもしっかりした文化の発信拠点があってもよい。ただ阪神間と同じにはいかないので播磨ならではのニーズを開拓する必要がある」

 -文化の息づく街は訪れたいし住みたいものだ。自治体の力量が問われる。

 「文学館、美術館、書写の里・美術工芸館、パルナソスホールなどこれまで文化行政が果たしてきた功績は大きい。音楽で言うとパルナソスは素晴らしい。一流の音楽家の演奏に耐えうるホールだ。こうした施設群が今の姫路の都市の格を形作っていると思う。とかく日本の行政は土木建設に向きがちだが、人口減、高齢社会の今こそ、文化に造詣の深い首長が必要だ。文化的で住みたい街にするには、いろんな方がいろんなふうにいろんなことを自由に発言できる環境が何より大切だ」

【はやし・ゆみこ】姫路西高から武蔵野音楽大学声楽科卒。パリ・エコール・ノルマル音楽院演奏家課程首席修了。1982年から現職。武庫川女子大学非常勤講師。姫路市芸術文化賞受賞。交響詩ひめじ合唱コンクール審査員。CD「聖母マリアの賛歌」「日本歌曲集」など。

<記者の目>文化で「都市格」形成を

 人に人格があるように都市にも格がある。富や人口の多寡ではなく、住み心地や景観、福祉など総合的な魅力がいわゆる「都市格」を形作る。その鍵を握るのが文化だろう。「手柄に芸術劇場を」という林さんの提言をどう受け止めるか。文化は市民が創造するものだが、器の整備や芸術家支援の文化行政は、信託された自治体の責務だ。多彩な市民文化が花開く姫路であってほしい。

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