姫路

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「ホールの成功はコンテンツ次第」と力説する笹部博司さん=東京都豊島区
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「ホールの成功はコンテンツ次第」と力説する笹部博司さん=東京都豊島区

■客呼べる興行の選定重要

 「劇場は芸術のデパート」と話すのは姫路出身の演出家笹部博司さんだ。市文化コンベンションセンターを巡っては開館後の施設運営にも注目が集まる。新潟市の「市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)」で演劇部門の芸術監督を務めてきた経験を踏まえ、「成功は経済面を抜きには考えられない。お金を払ってくれる客を増やしてこそ」と興行の選定の大切さを強調する。(聞き手・伊田雄馬)

 -1998年にオープンしたりゅーとぴあの運営に携わり、演劇部門の芸術監督を務めている。

 「りゅーとぴあは80年代半ば、専門ホールのニーズの高まりや既存のホールの老朽化を受けて新施設を求める声が高まり、建設計画が立ち上がった。私は開館する約2年前にAP(アドバイザリー・プロデューサー)に就任し、企画・運営について市から委託を受けた財団のスタッフに助言してきた。2004年にはAP制度が廃止され、より指導力を発揮できる芸術監督になった」

 -当初、市民の間ではどんな反応だったか?

 「大規模な反対運動や訴訟にまで発展した。立ち上げ時の担当者は大きな逆風の中で準備を進めた。だが最近になって話を聞くと、『反対運動があったからうまくいった』と振り返っていた。それだけ市民の注目を集めたことで『失敗できない』と強く認識し、多くの人の意見を聞いたという」

 -姫路では新潟ほどホールの建設が市民に浸透していないように感じる。

 「計画が十分に市民に浸透しているなら姫路でも反対運動が起きたかもしれない。一方、反対が強いことは行政が市民に密着していることの現れなので、むしろ反対の声が小さいことの方が問題だ」

 -姫路の新施設が目指すべき方向は。

 「『公共の劇場は客が入らなくても芸術性が高い演劇を上演すべきだ』という人がいるが、私はそう思わない。劇場は言うなれば芸術のデパート。客の購買意欲をそそる商品がなければ意味がないし続かない。そのためには招待券をばらまくのではなく、きちんとお金を払ってくれる客を増やす必要がある」

 -りゅーとぴあではどのように稼働率を高めたか。

 「オープンからの2年間はAPとして、演劇の演目は全て私が決めた。誰にも横やりを入れさせず、こけら落としから『演劇集団キャラメルボックス』など人気劇団をそろえ、2年間の舞台はほぼ全て満席御礼。その時に運営を支える『友の会』の会員を増やした」

 「どんな演劇論を振りかざしても、劇場の成功は経済的な面を抜きには考えられない。まずは客が入る興行を優先し、その次に『客が入らないけどいい芝居』にどうやって客を入れるか考えるべきだ」

 -もし姫路で新施設の運営に携わる立場にあったら、何から着手するか。

 「運営の核となるチームを一から作る。施設運営は一人ではできない。目的を共有できるメンバーを集め、上演される興行に対して責任を持つ」

 -市民に長く愛されるには。

 「昔と現代では消費の目的が変化している。昔はモノが消費の中心だったが、現代の中心はイメージ。その意味では演劇や音楽にも可能性がある。りゅーとぴあは新潟市民の消費の中心を占めるまでになった。『姫路でもいい演劇が見られる』と思わせる演目を並べられるかどうかがカギだ」

【ささべ・ひろし】1948年、姫路市生まれ。関西学院大学卒業。90年に演劇制作会社を立ち上げ、数多くの戯曲や小説を舞台化。主要作品に大竹しのぶ主演「奇跡の人」など。開館前から新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)の運営に携わり、2004年から現職。

<記者の目>演目を選ぶ責任者必要

 「基本的にうまくいかないと思った方がいい」。柔らかな口調だが、新ホールへ向ける言葉は手厳しい。新潟市民の文化拠点として高い稼働率を誇るりゅーとぴあの開館当時も「劇場なんか作るのは迷惑だからやめなさい」と公言したという。演劇部門の責任を持とうと開館から2年間は上演する演目を自ら選別した。「姫路では結局、誰が責任を持つのか」。問いかけは重い。

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