南米アルゼンチン生まれのダンス音楽・タンゴのレコード鑑賞会などを開催してきた姫路中南米音楽愛好会(25人、鳥本哲平会長)が年内で活動を終えることを決めた。全国的なタンゴブームの中、1955年に設立し、会員が曲を解説する例会を重ねてきた。メンバーの減少や高齢化から65年の活動に幕を下ろす。
タンゴは50年代、全国に広まり、各地で愛好家による会が発足した。同愛好会は兵庫県の西播・姫路地域の11人がブエノスアイレスで発展した音楽を指す「ポルテニア音楽研究会」として設立。のべ約600人の会員が名を連ねたという。
活動は喫茶店にレコードを持ち寄る例会が基本。5年に1度の特別例会ではプロの演奏者や歌手を招き、桜の名所でレコードを聴く「花よりタンゴ」や、5月5日に丹後半島を旅する「端午・丹後・タンゴツアー」など、しゃれの効いた催しも企画してきた。
NHK紅白歌合戦にも出場した「タンゴの女王」藤沢嵐子さんを招いたのは、1989年の35周年記念特別例会。200人の観客が歌声に酔いしれた。いずれも設立メンバーで元会長の鈴木忠夫さん(87)と弟の忠昌さん(84)は「世界に通じる歌声を目の前で聴け、感動した」と懐かしむ。
通常の例会は2部構成で約20曲を聴く。会員が選曲してプログラムを作り、曲にまつわるエピソードなどを紹介。全盛期は貸し切りにした喫茶店に人が入りきらないほどの人気だった。鳥本会長(77)は「持っていないレコードを聴ける。仲間と交流できる貴重な場所だった」と振り返る。
だが、会員の高齢化とともに開催頻度が落ち、毎月から2カ月に1度になり、現在は3カ月に1度まで減少。集まる人の数も10~20人となり、閉会を決めた。今年は2、5、9月に通常の例会を行い、12月の65周年記念例会が最後の活動となる。3人は「タンゴは青春そのものだった。会が終わるのは寂しいが、今後も聴き続けたい」とする。次回は2月9日午後5時、姫路市西八代9、杵屋学園前店。(伊田雄馬)
