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脳梗塞で倒れリハビリを経て、山開き神事に臨む柏尾信彦さん=姫路市夢前町山之内
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脳梗塞で倒れリハビリを経て、山開き神事に臨む柏尾信彦さん=姫路市夢前町山之内

 昨年6月に脳梗塞で倒れた兵庫県姫路市夢前町の「賀野神社」の宮司、柏尾信彦さん(66)が、今年も雪彦山の山開き神事を取り仕切った。少年時代から150回以上登った山への愛着は人一倍。緊張の面持ちで慎重に、祝詞を読み上げた柏尾さんは「来年までにもっと回復してみせる。登山者の安全を祈願し続けたい」と話す。

 「山を愛する人たちにもろもろのまがごとなく」。5月中旬、汗ばむ陽気と静寂に包まれた雪彦山山麓。地元の山岳連盟幹部や消防関係者ら約50人を背に、藤色の狩衣と烏帽子をまとった柏尾さんが続けた。約20分間の神事を終え、「ぎこちなくて恥さらしましたが、ほっとしました」

 男らしく育つようにと、名前に「彦」の字を授けられた。小学生時代は山でのアルバイトに明け暮れた。「リュックサックにドライアイスとアイスキャンデーを詰め込んで頂上まで走るんです。そりゃよく売れた」。当時、婦人会がうどんやカレーの売店を構え、登山客を乗せた観光バスが続々と入るにぎわいぶりだった。

 父と祖父を早くに亡くし、大学卒業後、中学の体育教師と宮司の二足のわらじを履いた。夢前町内の3中学校でそれぞれ勤めた後、約10年前から宮司に専念。昨年、山開きの約1カ月後、ふもとの鳥居近くを歩いていて突然倒れた。近くの待機小屋まで這って戻り、自ら救急車を呼んで一命を取り留めた。約3カ月間入院。「教え子が勤めていて、びしばし鍛えてくれました」。まひした手足と言語のリハビリを続けた。

 退院後も発声に不安が残り、山開きが近づく中、「ほかの神社にお願いするか」と悩んだ。毎年5件前後起きる遭難事故に心を痛めつつ、昔の山の活気を取り戻したいと願う。約40年間祈願を続けてきた責任感で、弱気を振り払ってみた。

 「もっとしゃきっとせな。救急車やヘリがこの山に来なくて済むように」。神事の後、祭壇を片付けながら気を引き締めていた。(井上太郎)

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